ニュース 社会 作成日:2015年9月3日_記事番号:T00059078
かつて隆盛を誇った企業グループ、華隆集団の董事長を務めた翁大銘氏(今年3月に64歳で死去)の父親で、1977年に亡くなった翁明昌氏の遺体が、38年間にわたり埋葬されることなく台北市陽明山の豪邸内に安置されていることが明らかとなった。
1919年に中国浙江省で生まれた翁明昌氏は、台湾に渡った後、53年にセメントメーカーの台湾嘉新水泥を創業。その後、事業を拡大して義新企業集団を形成したが、77年に58歳の若さで急逝した。同氏は生前、死後は故郷の浙江省に帰りたいと口にしていたそうで、長男の翁大銘氏はこの遺言を守り、埋葬せずに防腐処理を施した上で陽明山に保有する住宅内に安置することを決めたという。
しかし当時、中台関係は険悪で遺体を故郷に運ぶことはかなわなかった。緊張が解け、交流が開放された後は、翁大銘氏が株取引に関わる不正を行ったとの疑いで起訴され、出境禁止命令を受けたことで中国へ渡れなくなり、翁大銘氏の願いは一向に果たされない状態が続いた。
なお翁明昌氏の妻、翁張妙貞氏は2011年に亡くなったが、大陸(中国)奪還の夢を果たすことなく亡くなり、埋葬されずに墓園「慈湖陵寝」(桃園市)に安置されている蒋介石、「大溪陵寝」に安置されている蒋経国の元総統親子に倣い、妻の遺体も冷凍保存された上で夫のひつぎの隣に安置されているそうだ。
ただ、翁大銘氏が父親の事業を引き継いで立ち上げた華隆集団はその後、氏の有罪判決とともに衰退して解体され、夫妻の遺体が安置されているこの豪邸の所有者だったグループ企業の国華人寿保険も、公的管理機関の保険安定基金の管理下に移行することとなった。
その保険安定基金が12年に国華人寿の資産精査を行った際に、同豪邸内に遺体が保管されていることを発見し、撤去しようとしたが、翁大銘氏は「遺体の安置については国華人寿に同意を得ている」と拒否。そこで保険安定基金は撤去と住宅の占有に対する費用を求め、翁大銘氏を提訴した。しかし最終的に、今月5日の裁判で「翁大銘氏と国華人寿との間で同住宅の無償使用契約が結ばれていた。翁氏の死後も同契約は有効」として翁氏遺族側が勝訴し、現在も遺体の保管は継続されている。
なお台湾では死後、きちんと埋葬しなければ、子孫の運命に悪い影響を及ぼすとの言い伝えがあるが、これを証明するかのように翁大銘氏は刑務所服役、事業の失敗、自己破産と没落の人生を歩んだ。
現在、翁明昌氏夫妻の遺体は、妻の弟が管理しているそうだが、中国で墓に入るという2人の夢はかなうことがあるのだろうか。
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