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8月製造業PMIが過去最悪に、景気悪化は鮮明


ニュース その他製造 作成日:2015年9月3日_記事番号:T00059100

8月製造業PMIが過去最悪に、景気悪化は鮮明

 中華経済研究院(中経院、CIER)が2日発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比3.6ポイント下落の45.0で、統計を開始した2012年7月以降で最悪となった。PMI下落は5カ月連続。景気拡大と景気後退の境目である50ポイントを2カ月連続で下回った。製造業の「今後6カ月の景気状況指数」は9ポイント下落の33.6で、12年11月以降で最低となった。景気の現状、見通しの悪化傾向が鮮明になってきた。3日付工商時報などが報じた。

 8月はPMIを構成する主要5項目全てが前月から下落し、50ポイント以下となった。内訳は下落幅が大きかった順に▽生産高、43.9(前月比5ポイント下落)▽新規受注、39.9(4.5ポイント下落)▽雇用、48.4(4.5ポイント下落)▽サプライヤー納期、45.5(3.5ポイント下落)▽原材料在庫、47.2(0.4ポイント下落)──。このうち、新規受注は統計開始以来の最低となった。雇用は6カ月ぶりに景気後退に転じた。雇用の下落幅は14年9月以降で最大。原材料在庫は過去33カ月で最低だった。

 産業別では、台湾で最も重要な電子・光学は前月比5ポイント下落して45.6、電力・機械設備は3.3ポイント下落の42.1で、ともに景気後退傾向を示した。また、交通設備は42.5(3.2ポイント下落)、基礎原材料は40.0(2.2ポイント下落)、化学・バイオ医療は49.7(0.6ポイント下落)となった。食品・紡織は53.2で2.2ポイント下落したが、唯一景気拡大傾向を維持した。

 製造業全体の「今後6カ月の景気状況指数」の下落は2カ月連続。産業別では、食品・紡織を除いた全産業で景気見通しがさらに悪化した。

非製造業は初の景気後退

 8月の非製造業総合指数(NMI)は前月比4.6ポイント下落の47.5で、統計を開始した14年8月以降で初めて50ポイントを下回った。また、非製造業の「今後6カ月の景気状況指数」は14.4ポイント下落の24.9で、下落幅は統計開始以来で最大だった。

 8月はNMIを構成する主要5項目が軒並み下落した。内訳は▽商業活動・生産、42.0(前月比7.6ポイント下落)▽新規受注、45.7(5.1ポイント下落)▽雇用、51.4(5ポイント下落)▽サプライヤー納期、50.7(0.9ポイント下落)▽在庫、53.0(0.4ポイント下落)──。このうち、商業活動・生産と新規受注は統計開始以来の最低、雇用の下落幅は統計開始以来の最大となった。

 非製造業のうち、宿泊・飲食業を除いた全産業が今後6カ月に景気がかなり悪化すると予想している。

台湾経済の見通し悲観

 世界経済の見通しに定評のある、生命保険大手、南山人寿保険の杜英宗董事長は2日、現在は▽中国経済の減速懸念▽原油など商品相場の低迷▽米利上げ観測──が最も注目を集めているが、これらの懸念材料が世界経済に与える影響は心理的なものにすぎず、今後の見通しを楽観視していると述べた。

 ただ、台湾経済の見通しについてはやや悲観的で、今年の域内総生産(GDP)成長率は1%台も危うく、マイナス成長になる可能性もあるとの見方を示した。その主な理由として、海外の安い労働力を利用した製造・加工に頼る台湾の経済構造が、依然大きく変わっていないことを挙げた。また、中国が内需主導型の経済への構造変化を目指す一方で、台湾は変化できておらず、円滑な資金・人材の出入りがない状態だと指摘。台湾経済が抱える問題を解決するにはさらなる規制緩和や市場開放が必要だと訴えた。

【図】