ニュース 社会 作成日:2015年9月7日_記事番号:T00059154
デング熱感染拡大が台南市の観光産業を直撃している。「台湾のアマゾン」と呼ばれる安南区のマングローブ林「四草緑色隧道」鑑賞ツアーは通常、休日には4,000~5,000人の参加者を集めていたが、きのう6日は2,000人以上減少した。旅行会社の団体予約も半分がキャンセルされた。観光客に人気の古蹟、赤崁楼(中西区)、安平古堡(安平区)、二鯤鯓砲台(億載金城、同区)も参観客が2~5割減少した。感染例が報告されていない北門区にも影響は広がっており、地元の業者は「台南観光客が途絶えるのではないか」と懸念を募らせている。7日付蘋果日報などが報じた。
各地で行われている殺虫剤散布の効果を疑問視する声も出たが、頼清徳台南市長は6日、「デング熱予防に必ず効果はある」と主張した(中央社)
衛生福利部疾病管制署(疾管署)によると、今年5月1日~9月6日までのデング熱確定症例は台湾全土で5,948例となり、6,000例に迫った。このうち台南市は5,247例と全体の88%を占める。デング熱による死者はこれまでに10人が確認され、うち台南市が9人。また14人の死亡がデング熱によるものか確認中だ。
台南市の新たな感染例は▽8月30日、131例▽31日、231例▽9月1日、273例▽2日、318例▽3日、290例▽4日、470例▽5日、299例──と先週だけで2,012例増え、6日も363例増えた。止まらない感染拡大で同市のイメージが悪化し、市民の訪問意欲が減退している。
筏(いかだ)に乗ってマングローブのトンネルを巡る四草緑色隧道ツアーでは、観光客が待合室で持参の蚊よけスプレーを全身に噴射し、周囲に不快な臭いを振りまいていた。安平区の古蹟「安平樹屋」を訪れた子供の手には蚊よけパッチが貼られていた。観光客が感染を警戒しているのが分かる。
延平老街(安平老街、旧市街)の蚵仔煎(カキ入りオムレツ)店主は「最近は来店客が1日20人余りで、以前より4割減った」と話した。梅飲料「酸梅湯」を売る業者は「以前は1日300杯売れたが、今では100杯余りだ」と嘆いた。また、エビ春巻きで有名な老舗レストラン「周氏蝦捲」台南本店(安平区)の副店長によると、土曜日の売上高は以前は約50万台湾元(約180万円)に達したが、先週5日は20万元未満だったと話した。
一方、北門区の観光スポット「水晶教堂(クリスタル・チャーチ)」の訪問客は6日には5,000人余りと、前年同期比の12%余りに落ち込んだ。交通部観光局雲嘉南浜海国家風景区管理処の鄭栄峰処長は「北門区はここ半月で観光客が半分に減った。感染例が出ていなくても台南市内だから警戒されている」と述べた。
疾管署、「9月末まで様子見」
デング熱感染拡大を受け、中央政府に流行疫情指揮センターを設立するよう求める声が高まっている。これに対し疾管署の郭旭崧署長は「現在も台南市の状況を見守っている。同市の確定症例数が10日連続で減少すれば感染は抑えられたと判断できるが、9月末まで感染拡大が続けば中央が防疫作業を引き受ける」と表明した。
郭署長は、中央政府と台南市政府の意思疎通は円滑で、行政院は現時点では中央が地方の防疫を主導する必要はないと判断したと説明した。
疾管署は今週11日にも専門家諮問会議を開き、台湾北部への感染拡大の可能性などについて意見を聴取する。
「北部も油断できない」
デング熱感染は台南市や高雄市(6日現在で609例)に集中しているが、台東県と離島の馬祖(連江県)を除く各県市で確定症例が報告されている。専門家は、台南市、高雄市を訪れた市外の住民がデング熱に感染し、帰宅後に蚊に刺された後、居住区に感染をもたらしている可能性があると指摘。感染は最も深刻な台南市中心部から市外に急速に広がっているため、北部の住民にとっても対岸の火事ではないと注意を促した。
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