ニュース 社会 作成日:2015年9月8日_記事番号:T00059155
日本統治時代の1895〜1945年に台湾で生まれた「湾生(わんせい)」と呼ばれる日本人がいる。彼らは敗戦を機に見知らぬ日本への移住を強いられたが、その多くが胸に台湾に対する望郷の念を抱え続け、かつての友人たちとの再会を望んできた。そんな湾生たちの姿を追ったドキュメンタリー映画、『湾生回家』が10月16日に台湾全土で上映されることが決定した。
田中さんは「家に帰ったときの温かい気持ちを感じてほしい」との思いで湾生たちのために尽力している(フェイスブックより)
同作品のプロデューサーで日台ハーフの田中実加さんは20代のころ、亡くなった祖母が湾生だったことを知り、その遺灰を生まれ故郷に帰す旅に出たことが人生の転機となった。
田中さんはその後、死ぬまでにもう一度自分の生家を訪れたり、幼なじみに会いたいという湾生たちのために尽力するようになり、12年の間に200人以上を案内して台湾中を駆け回った。その結果、142人が台湾で出生記録を取得することができた。
そして田中さんは、湾生たちから聞き取った物語や、生家や幼なじみを探す過程を文章に記録し、昨年、台湾の遠流出版から『湾生回家』として出版。その年に出版された優れた書籍に贈られる「開巻好書奨」を受賞した。さらに彼女は湾生たちへのインタビューや自分の故郷を探し求める過程を収めた映像を基に同名ドキュメンタリー映画を制作。このほど公開日が確定した。
これまで長い間湾生たちのために奔走してきた彼女は「青春時代の20代を犠牲にして何を得たのか」と人から聞かれることもあるそうだが、そんな時は「価値の付けられないものを手に入れた」とだけ答えるという。
彼女が友人や初恋の相手の捜索に力を貸した高齢の湾生たちの中には、たった1通の手紙、またはぬくもりを失った遺灰にしか対面できないという者もあったが、余命の少ない彼らから「もう何も思い残すことはない」という言葉を聞かされた時、彼女は「自分の得たものは大きかった」と感じたそうだ。
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