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メディアテックがリッチテック買収、スマホ・IoT商機を視野


ニュース 電子 作成日:2015年9月8日_記事番号:T00059178

メディアテックがリッチテック買収、スマホ・IoT商機を視野

 IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は7日、アナログIC最大手の立錡科技(リッチテック・テクノロジー)を買収すると発表した。蔡明介メディアテック董事長は、世界で業界再編が進む中、リッチテック買収により、市場シェアを拡大し、モノのインターネット(IoT)商機を模索すると説明した。市場関係者は、両社は相互補完性があり、当面はスマートフォン市場、将来はIoT市場で、中国メーカー台頭による「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」に対抗できると指摘した。8日付工商時報などが報じた。


蔡メディアテック董事長(左)と邰リッチテック董事長(右)は40年以上の付き合いで「志は同じ」と口をそろえ、友好的買収をアピールした(7日=中央社)

 メディアテックは8日から年末にかけ、子会社を通じた株式公開買付(TOB)でリッチテックの株式を1株195台湾元(約710円)で35〜51%取得し、来年第2四半期までに100%買収を目指す計画だ。リッチテックの7日終値187元で計算すると、プレミアムは4.3%で買収額は290億元となる。

 蔡メディアテック董事長は、リッチテックはパワーマネジメントIC(PMIC)技術がそろい、IoT向け多品種少量生産に適していると評価した。

 邰中和リッチテック董事長は、メディアテックの規模とリッチテックの独自技術を合わせれば、IoT時代にも中国のレッドサプライチェーンに対し競争力を保持できると述べた。

 リッチテックのサムスン電子スマホ向け受注が流出するとの市場の懸念に対し、顧大為メディアテック財務長は「サムスンを含む大手ブランドはほぼメディアテックの顧客だ」と一蹴(いっしゅう)した。

「人員削減しない」

 蔡メディアテック董事長は、買収でチャンスが拡大し、人手が多く必要になるため、人員削減はしないと表明した。リッチテックの従業員は現在950人。

 メディアテックは、2014年2月にテレビ用チップ世界最大手の晨星半導体(Mスター・セミコンダクター)を買収し、インド、フィンランド、米国などに拠点が増え、従業員は1万2,000人に拡大した。今年は子会社となったMスターを通じてイメージセンサーの曜鵬科技(アルファ・イメージング・テクノロジー)、米インテグレーテッド・シリコン・ソリューション(ISSI)傘下の特殊用途メモリーメーカーの常憶科技、ドライバICの奕力科技(イリテック)を買収しており、IC設計業界で世界3位の地位は揺るぎない。

 メディアテックが同日発表した8月連結売上高は190億900万元で前月比6.12%増、前年同月比3.29%減だった。9月は前月比減収が予想されるが、第4四半期にはリッチテックの買収効果が表れそうだ。