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TSMC、アップルA10受注独占か


ニュース 電子 作成日:2015年9月14日_記事番号:T00059288

TSMC、アップルA10受注独占か

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、アップルのスマートフォン次世代機種「iPhone7」に搭載が予想されるプロセッサー「A10」を独占受注したもようだ。来年3月に16ナノメートル製造プロセスで量産を開始するとみられる。アップルからの大口受注により、TSMCは今後も売上高、純利益の過去最高を更新し続けることが見込まれる。14日付工商時報などが報じた。


香港のアップル公式サイトで12日午後始まったiPhone6s第1弾予約販売では、5.5インチのiPhone6sプラス(写真右)の全色、全容量がわずか20分で売り切れた(アップルリリースより)

 アップルサプライチェーン関係者によると、アップルは既にiPhone7の供給網構築、部品の認証作業を開始し、中でも第4世代64ビットアーキテクチャのA10プロセッサーはTSMCに全数発注したようだ。A10のパッケージングもTSMCの統合ファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(InFO-WLP)技術を採用するとみられる。

 アップルは発表したばかりのiPhone6sを対象に、1年間所定の金額を支払えば、新たなiPhoneに追加料金なしで交換できるアップグレードプログラムの提供を発表。このためiPhone7も来年の今ごろ発売されると予想されている。同関係者は、iPhone7の部品調達は来年第2四半期に始まるとみられ、ファウンドリーには調達開始の半年前に発注を出す必要があるため、TSMCが今の時期にA10を受注したのは妥当なタイミングと指摘した。

 A10は当初、TSMCまたはサムスン電子が10ナノ製造プロセスで生産すると予想されていたが、両社とも10ナノ量産は2017年以降となるため、既に成熟段階に入ったTSMCの16ナノに決まったようだ。

 JPモルガンのゴクル・ハリハラン半導体アナリストは、TSMCの売上高は来年第1四半期から増え始めると予想した。

 なお、iPhone6sに搭載された第3世代「A9」プロセッサーは、TSMCとサムスンが受注を半分ずつ分け合ったとされる。

 この他、アップルはこのほど発表したテレビ接続端末「アップルTV」とタブレット端末「iPad mini 4」に第2世代「A8」プロセッサーを搭載しており、今後TSMCの20ナノ製造プロセスの設備稼働率が向上すると見込まれている。

iPhone6s、予約好調

 中国の通信キャリア最大手、中国移動通信(チャイナ・モバイル)傘下の北京移動のiPhone6s予約販売サイトでは、10日から14日午前までに予約購入者が35万人近くに達し、昨年のiPhone6の当初予約者6万人を大きく上回った。

 台湾はiPhone6s発売日が未定ながら、中華電信を除く通信キャリア4社が10日に予約受付を開始し、台湾大哥大(台湾モバイル)と遠伝電信(ファーイーストーン・テレコム)のオンライン予約は数時間で満杯となった。カラーは新色のローズゴールド、容量は64ギガバイト(GB)に人気が集まっている。通信キャリア関係者は、台湾ではiPhone6s発売時に予約が20万台を突破していると予想した。

 なお中華電信は、キャリアをまたいだ重複予約による販売上の混乱防止に向け、iPhoneシリーズでは初めてiPhone6sの予約販売をせず、発売後の店頭販売に専念する方針だ。

 証券会社は、iPhone6sの販売が好調となれば、組み立ての鴻海精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)やカメラレンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)など関連サプライヤーの今後の受注が増し、株価上昇も期待できると指摘した。 

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