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「災害に弱い都市」、台北市が世界ワーストワン


ニュース 社会 作成日:2015年9月18日_記事番号:T00059372

「災害に弱い都市」、台北市が世界ワーストワン

 英ロイズ保険組合が先ごろ発表した、世界の301の主要都市に対する災害による経済リスクを分析したレポート「ロイズ都市リスク指標レポート」によると、今後10年間で人為的災害・自然災害によって被る経済損失は台北市が1,812億米ドルで最悪と予測され、「世界で最も災害に弱い都市」と判定された。

 同レポートは、18種類の人為的災害・自然災害によって生じる今後10年の経済損失を予測したもので、損失額は台北市が1位、2位以下は▽東京、1,533億米ドル▽ソウル、1,035米ドル▽マニラ、1,011億米ドル▽ニューヨーク、904億米ドル──となり、東アジアの大都市がリスクが高いと目されていることが分かった。

 台北市の損失額のうち44.8%は暴風・台風、16.4%は地震、15.8%は市場の暴落に起因すると予測されている。これに▽洪水▽石油価格ショック▽疫病の流行▽噴火▽サイバー攻撃▽停電▽干ばつ──を加えた10種類の災害が同市の「10大リスク」に挙げられた。

 なお台北市は人為的災害による損失額でも世界4位、さらに台湾は計6基の原子力発電機が稼働していることから、原子力事故による経済リスクも世界5位となった。

 同レポートに対しある台北市民は、「台湾はたびたび自然災害に見舞われるため、台北市の災害対応力は他の都市より優れていると考えていたので『世界最悪』の結果には驚いた」と語り、別の市民からは「花博などに大金をかけながら基本的な防災工事を怠った」と市当局を批判する声も上がった。

 柯文哲台北市長もレポートの分析に対し「台湾は台風や地震が避けられず、当市は確かに危険があふれる都市と言える」と認めた上で「だからこそ就任後は防災対策に力を注いできた」と強調した。

 なお政治大学リスク管理・保険学系の許永明教授は、過度な不安視は不要だが、政府、企業、個人は台風や地震などレポートで挙げられた比較的脅威が大きい災害に対し、洪水防止策、耐震基準、災害発生時の緊急対応能力などについてリスク管理が十分かどうか再点検する必要があると指摘。さらに災害が発生した場合の復旧、復興に必要な資金源を確保するため損害保険の重要性は無視できないとの考えを示した。