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エピスター115人追加削減、中国勢台頭が影響


ニュース 電子 作成日:2015年9月18日_記事番号:T00059395

エピスター115人追加削減、中国勢台頭が影響

 発光ダイオード(LED)最大手、晶元光電(エピスター)は業務縮小のため、新竹科学工業園区(竹科)工場の従業員76人を解雇する。竹科管理局が明らかにした。傘下の璨円光電(フォルモサ・エピタキシー)の龍潭工場(桃園市)、平鎮工場(同市)でも計39人を解雇するとみられ、17日に南部科学工業園区(南科)工場で解雇した65人と合わせ、総従業員の約3%に当たる180人を削減する。中国の「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」台頭で、台湾LED業界は事業に深刻な影響が出ているようだ。18日付経済日報が報じた。


エピスターの李秉傑董事長は6月時点では、第3四半期はテレビや照明向けなどでLED需要が拡大するとの予測を示していたが、厳しい環境を迎えているようだ(同社リリースより)

 エピスターは竹科のN1、N2、N3工場および竹科竹南園区のN6工場で、3段階に分けて人員削減を進める。削減対象は処長、協理など中上級幹部に及ぶとされる。南科工場では下はアシスタントエンジニアから上は協理まで解雇されたもようだ。エピスターは人員削減計画数や対象者の職位については明かさなかった。

 同社はここ数年、同業の広鎵光電(ヒューガ・オプトテック)、フォルモサ、台積固態照明を買収した結果、組織や機能に重複が生まれた。類似した生産機能を特定の工場に集中し、組織をフラット化することで経営効率を高め、スケールメリットを最大限に活用することが人員削減の狙いで、コスト削減が目的ではないと強調した。

 生産機能の再編では、竹南工場に後工程を集中させ、中科ではヒューガを中心に10種類余りの製品に専念する。また、竹科の工場のうち3基は4元系LEDの生産がメーンで、同製品は今後大きな商機が見込めるため、他の工場から補助業務に当たる間接労働者を異動させ、将来の需要増に備えている。

稼働率6割未満か

 観測によると、エピスターの受注量は現在も低水準で、設備稼働率は6割を切っているようだ。同社は、受注見通しは良くないが、大手ブランドや販売業者への営業を積極化しており、シェア向上が見込めると説明した。

 エピスターは低い設備稼働率と価格競争の影響で、第2四半期に本業が赤字転落した。8月売上高は19億2,000万台湾元(約71億円)で前年同月比25.4%減少、1〜8月累計売上高は174億4,500万元で、前年同期比11.5%減少した。証券会社は、9月は四半期末の棚卸しの影響で前月比減収になると予想している。

LED供給過剰、深刻化

 市場調査会社、LEDインサイドは、中国LEDメーカーがここ数年、株式市場から集めた潤沢な資金や地方政府の支援をバックに大規模な増産を進めた結果、LED市場が供給過剰になったと指摘。一方で台湾メーカーは株価下落で資金調達が困難になり、人員削減や無給休暇の実施で経費を削減する必要があるとの見方を示した。

 LEDインサイドはまた、三安光電(三安オプトエレクトロニクス)、廈門乾照光電など中国LED大手メーカーのアモイ新工場のMOCVD(有機金属化学気相成)装置が相次いで稼動し、下半期はウエハー投入枚数が1カ月当たり50万枚増えると予想。世界のMOCVD設置台数は今年3,130台に上り、うち中国は1,473台と全体の47%を占める見通しだ。LED用ウエハーの2インチウエハー換算での生産量は今年、世界全体で7,231万枚へと前年比14%増加する計算で、LED市場の供給過剰はさらに深刻化すると指摘した。