ニュース 商業・サービス 作成日:2015年9月22日_記事番号:T00059449
飲食チェーン最大手、王品餐飲が傘下各部門に解雇候補者リストの提出を求めており、2~3割の人員削減を計画しているとの市場観測が浮上した。陳正輝董事長は21日、現在も求人活動中だと観測を否定。今年は店舗の閉鎖や移転など整理・改革の時期に当たり、この陣痛期と景気の暗黒期を乗り越えれば、再び躍進すると強調した。22日付経済日報などが報じた。
陳董事長(左2)は21日、王品独自の食品クラウドシステムを発表。ブランド、メニューを選んでQRコードをスキャンするだけで、生産者、生産地などの生産履歴が確認できると説明した(21日=中央社)
王品のある従業員によると、人員削減はまず本部の正社員を中心とした約200人。ブランド部、財務部、広報部、総務部など本部の大幅な人員削減後、部門が再編され、1人で現在の2~3人分の業務を担うことになる。リストラ実施に伴い、今年7月に退職した創業者の戴勝益・前董事長(62)の姉や秘書など約10人の中高級管理職が自発的に退職したが、ほぼ補充がなく、従業員の士気が下がっているという。
陳董事長は、昨年は不正食用油事件の影響で業績が「ソフトランディング(軟着陸)」し、出店数も従来ほど多くなく、今年の離職者は例年より多いが、人員削減は「報道で知ったばかり」と話した。また、閉鎖したブランドは喫茶の曼咖啡(Famonn Coffee)だけと説明した。
陳董事長は今後の展開について、市場の飽和状態を考慮し、創設5年以内のブランドは出店を続けるが、10年以上続くブランドは出店を減速する他、自社ブランドの海外展開や海外ブランドとの提携も視野にあると説明した。
従業員1251人減少
王品の統計によると、今年8月末時点の台湾の店舗数は12ブランドで288店と、前年同期比で10店減少した。台湾事業群の従業員は1万600人で、1,251人減少した。今年7月末で閉鎖した曼咖啡の13店を中心とした700~800人が主因だ。
同社の今年1~8月売上高は116億4,000万台湾元(約430億円)で前年同期比0.52%減、うち台湾事業は71億8,000万元で13.09%減だった。上半期の純利益は2億4,200万元で53%減。ブランドの価格帯別では、ステーキハウスの「王品牛排」、鉄板焼きの「夏慕尼」など高価格帯が28.6%減、和食の「芸奇」や「陶板屋」、焼き肉の「原焼」など中高価格帯が32.1%減、鍋料理の「聚」、とんかつの「品田牧場」など中低価格帯が92%減だった。
なお王品は2013年4月から管理職、店長など1,200人を対象に信託型従業員持ち株制度を実施していたが、業績不振で運転資金を確保するため、この福利厚生制度を打ち切った。これにより月間2,000万元近く節約できる計算だ。
利益重視に舵切り直し
王品はこれまで多少の利益を犠牲にしても出店を拡大し、最年少店長を続々と生み出してきたが、陳董事長の就任以来、出店ペースを落として1店舗当たりの業績を重視する方針に切り換え、従業員の昇進スピードが下がった。王品の従業員は、近年の飲食店の出店ラッシュで、同業から引き抜かれることも多い。
王品の別の従業員は、現在の求人件数は250人に上り、どのブランドも人手不足で、人事担当の責任者は四半期ごとに台湾全土を求人活動で駆け回っていると話した。
王品は93年に設立、12年に株式上場を果たした。日本食や洋食を中心とした多ブランド展開や、充実した春節ボーナス(年終奨金)、派手な忘年会(尾牙)が注目され、3年連続で新社会人の人気企業ランキング首位に輝いた。
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