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ASEがSPIL買収に成功、業界再編に評価の声


ニュース 電子 作成日:2015年9月23日_記事番号:T00059476

ASEがSPIL買収に成功、業界再編に評価の声

 半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)世界首位、日月光半導体製造(ASE)は22日、台湾2位、世界3位の矽品精密工業(SPIL)の株式公開買付(TOB)で同社の株式24.99%を取得し、筆頭株主になったと発表した。金融監督管理委員会や証券会社は、国際競争力の向上に貢献すると評価した。一方、SPILはASEの経営介入を望んでおらず、10月15日の臨時株主総会で鴻海精密工業との資本提携案を承認に持ち込みたい考えだが、実現する確率は半々とみられている。23日付工商時報などが報じた。


郭董事長は、SPILの経営に口を出さないのなら、ASEの投資を歓迎すると語った(22日=中央社)

 ASEは8月21日に台湾と米国でのTOB実施を発表、24日~9月22日の期間中に11億4,700万株以上(36.83%に相当)の応募があり、予定していた上限7億7,900万株(24.99%に相当)を上回った。敵対的買収との批判もあったが、SPIL株主の参加意欲は予想以上に高かった。ASEは9月末までに352億台湾元(約1,300億円)の支払いを完了する予定だ。

 ASEは、国際競争の激化、新興勢力の台頭に立ち向かうため、半導体業界の再編が加速する中、同社はSPILの株主として早急に提携の基礎を築きたいと表明した。双方の従業員と株主の権益を考慮し、SPILの経営陣と具体的な提携内容を協議すると説明。ASEはSPIL株取得で四半期に7億~10億元の営業外収益が見込まれる。同社は従来、あくまで財務上の戦略でありSPILの経営には参画しないと再三述べていた。

 ASEのTOB成功に対しSPILは、従来同様の実績を上げるため、当社と当社経営陣による経営を認めてほしいと表明した。

 消息筋によると、ASEの張虔生董事長とSPILの林文伯(バウ・リン)董事長は早ければ今週中に面会し、今後について話し合うもようだ。

顧客が発注先変更の準備中?

 TOB期間にホワイトナイトとしてSPILとの株式持ち合い計画を発表した鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は、ASEとSPILは顧客が85%重複しており、市場シェアも高いため、顧客は両社が供給停止をちらつかせて値上げを迫ることを恐れ、既に発注先を変更する準備中だと話した。これでは世界2位と4位の企業に受注が流出するだけで、ASEとSPILの水平統合で1プラス1イコール2以上の効果は見込めないと述べた。

 一方、金管会の曽銘宗主任委員は、ASEのSPIL買収で、経営効率が向上し、規模の面でも海外メーカーと張り合え、効果は1プラス1イコール2以上だと評価した。もし買収が成立しなければ、競争力を失い、中長期的にみれば両社が消滅する可能性もあると述べた。

 世界2位、米アムコア・テクノロジーの梁明成・台湾区総経理は、産業界は強者がますます強くなる傾向にあり、顧客もM&A(合併・買収)で数が減少して規模が拡大しており、封止・検査業界は水平統合が必要だと述べた。

鴻海出資は否決か=証券会社

 SPILの10月15日の臨時株主総会で、もし鴻海との資本提携案が承認されれば、12月1日に鴻海が21%を取得して筆頭株主に浮上し、ASEの持ち株は19%に希釈化する。SPILの次回の董監事改選は2017年の予定だ。

 メリルリンチ証券は、鴻海との資本提携案は否決される可能性が非常に高いとの見方を示した。ASEがSPILの株主として、▽封止・検査価格の安定、引き上げ▽システム・イン・パッケージ(SiP)、ファンアウト型ウエハーレベル(WLFO)など技術向上への注力▽設備投資や研究開発(R&D)費、知的財産権(IP)やリソースの最適化、効果的運用──を行うと考えられるためだ。