ニュース 金融 作成日:2015年9月25日_記事番号:T00059530
中央銀行(中銀)は24日、政策金利を1.75%へと0.125ポイント引き下げた。世界景気の不透明感、台湾経済の成長減速、実質金利の高さなどから理事会の全会一致で決議した。利下げは世界金融危機の影響を受けた2009年2月以来、約6年半ぶり。市場では、輸出競争力を維持するための台湾元安誘導が目的とみられている。25日付経済日報などが報じた。
利下げは政治的圧力を受けた単なるポーズとの見方も一部で出たが、彭総裁は「それはない」と強く否定した(24日=中央社)
政策金利はこれまで、過去最長の16四半期連続で1.875%に据え置かれていた。利下げは、「適度な金融緩和」から「緩和」への転換だ。
中銀の彭淮南総裁は、産出量ギャップ(実際のGDPと、民間の設備や労働力を平均的に使って生み出せる潜在GDPとの差)が拡大しており、利下げで需要を刺激すると説明した。ただし、利下げの効果は一般に予想されるほど大きくなく、効果が表れるのは1年~1年半先になると語った。
彭総裁は、中銀の予測では第3四半期の経済成長率が今年の谷底になると述べた。行政院主計総処の予測によると、第3四半期経済成長率は0.1%どまり、通年は1.56%だ。
米国が12月に利上げした場合に追随するかについて彭総裁は、金融政策は自国の物価とGDPなどを基に調整するもので、追随の必要はないと語った。 彭総裁はまた、マレーシアやインドネシアの実質金利は台湾より低いと指摘した。台湾の1~8月消費者物価指数(CPI)はマイナス0.62%、実質金利は1.545%でタイの2.26%に次いで高い。
あるアナリストは、中銀は実質金利の高さを利下げの理由に挙げたが、本当の狙いは為替レートだと指摘した。
輸出・投資促進に期待感
24日の台湾元相場は前日比0.1元下落し、1米ドル=33.26元と過去6年半の最安値を更新した。政府系銀行関係者は、銀行の預金・融資利率は0.05~0.06ポイント引き下げられると予測した。
金融監督管理委員会(金管会)の曽銘宗主任委員は、利下げは株式市場、不動産市場の活性化に有効で、企業の資金調達コストが下がり投資も促進できると語った。経済部の鄧振中部長も、利下げは投資促進、輸出に一定の効果があると述べた。
一方、中央大学経済系の邱俊栄教授は、輸出不振は内需でカバーするべきで、利下げすれば預金の利息収入が減少するので個人消費が鈍ると指摘した。
経済見通しに懸念
なお彭総裁は、メディア向けに配布した54ページに上る報告書の中で、経済成長の鈍化、輸出先の過度の集中、中国政府が支援する地場産業「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」の台頭などから、台湾経済の今後の見通しに懸念を示した。その上で、スマートフォン大手の宏達国際電子(HTC)やLED(発光ダイオード)産業の経営が悪化している他、好業績が続いている台湾積体電路製造(TSMC)さえも中国の「レッドサプライチェーン」が脅威になり得ると指摘し、競争激化に向けた準備が必要と訴えた。
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