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台風休暇「空振り」、判断の難しさ浮き彫りに


ニュース 社会 作成日:2015年9月30日_記事番号:T00059533

台風休暇「空振り」、判断の難しさ浮き彫りに

 台風21号(アジア名・ドゥージェン)の接近を受け、台北市、新北市、基隆市は28日夜、中央気象局の予測を基に29日に公共機関と学校の休みとする「停班停課」措置を取ると発表。しかし翌日、同3市では雨風ともに弱かったため同措置は「空振り」となり、3市の判断の是非が議論となっている。

 台北市、新北市、基隆市の人事処長は台風上陸を受けて28日夜に会合を開催。当時の気象局の予報によると、同3市における29日午前中の平均および最大風速は「停班停課」の実施基準に達しず、雨量については規定を大きく下回る見通しだったため、新北市が同日午前中のみを休暇とすることを提案。他の2市がこれに同意し、28日午後8時ごろ、各市が同措置の実施を発表した。

 しかし、半日間のみという中途半端な休暇に対しインターネット上などで市民の不満が噴出。その後、午後10時ごろに3市とも29日終日を「停班停課」とすると改めて発表した。

 「終日休み」に変更したことについて台北市の柯文哲市長は「市民からの圧力で決定を変えたわけではない」と強調。29日が連休明け初日に当たる上、台湾高速鉄路(高鉄)や台湾鉄路(台鉄)の運行再開が同日正午の見通しとなっていたことから、出勤が難しいと判断したなどと説明した。

 しかし結局、29日の風雨は大したことなく、柯市長は「こんな天気に台風休暇を実施することになり、申し訳ない」と判断の誤りを認め、改善を検討すると語った。


基隆市の林右昌市長は「3市の台風休暇判断は台北、新北2市の意見が重視されることが多い。今後基隆市は基隆市で決める」と表明した(29日=中央社)

 一方、台南市および高雄市は、気象局の予報を基に規定に忠実な判断を下し、一部地域を除き「停班停課」措置を取らなかった。これを受けて陳菊・高雄市長のフェイスブックページには当初、市民から「他県市と同じ基準を用いてほしい」「事故が起きたら損害賠償してもらえるのか」などと批判的なコメントが殺到したが、後に正しい判断だったことが判明すると、一転して謝罪や称賛の書き込みが相次いだ。

 実施してもしなくても批判を受ける可能性のある「停班停課」。地方自治体の首長にとって判断が難しいところだ。