ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

永豊金と中国工商銀の提携見送り、サービス貿易協定めど立たず


ニュース 金融 作成日:2015年10月1日_記事番号:T00059583

永豊金と中国工商銀の提携見送り、サービス貿易協定めど立たず

 金融持ち株会社、永豊金融控股(シノパック・フィナンシャル・ホールディングス)は30日、子会社の永豊銀行(バンク・シノパック)が中国工商銀行(ICBC)から最大20%の出資を受け入れる協定が、実行できないまま期限を迎え終了したと発表した。2013年4月に締結し、2回延長していたが、実施の前提となる海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)のサービス貿易協定がヒマワリ学生運動の影響でいまだに成立しておらず、見送りを余儀なくされた。両者の資本提携は、中台金融業界の指標的な協力モデルと目されていた。1日付経済日報などが報じた。


張財務長は、中国工商銀行とは「結婚はしなかったが、今後も友人だ」として、業務提携の継続を強調した(30日=中央社)

 永豊金控は13年4月、台湾の金融持ち株会社傘下の銀行に対する中国の銀行からの出資枠上限を20%に拡大した中台間の合意に基づいて、中国工商銀行から最大20%、約200億台湾元(約730億円)の出資を受け入れる協定を締結した。ところが、中台サービス貿易協定の立法院審議が進まず、両社は14年2月27日、15年4月1日に協定を延長したものの、今回10月1日の期限延長は見送った。

 張晋源・永豊金控財務長兼永豊銀行総経理は、「当時、中台サービス貿易協定はすぐに発効すると考えていた」と述べ、無念さをにじませた。現行規定では、台湾の上場金融持ち株会社が中国の銀行から出資を受け入れられる上限は5%で、これでは単なる投資にすぎないと指摘。永豊銀行は戦略パートナーとの提携を望んでおり、将来的には中国の銀行から20%以上の出資を受け入れたいと述べた。

 張財務長はまた、対中政策見通しが不透明なため、当面は出資などは検討せず、南京子会社の発展に力を入れると語った。

 永豊金控は先週、傘下の永豊金証券(シノパック・セキュリティーズ)が51%、中国・福建省のアモイ市金財投資が49%を出資し、フルライセンスの証券会社を設立する合弁計画を解消すると発表したばかり。永豊金控による中国資本の受け入れ計画は、法令が明確になるまで全面ストップする見通しだ。

民間との提携にシフト

 中国工商銀行は、中国4大国有商業銀行の1行で、株式の時価総額は銀行としては世界首位だ。これまでの海外企業買収ではいずれも全株式を取得しており、永豊銀行への20%出資は同行としては小規模投資だが、サービス貿易協定発効後の初の台湾出資例として象徴的な意味を持つとみられていた。

 関係筋は、今後の中台金融業界の資本提携は、大規模な国有銀行が登場する確率が下がり、政治色の弱い国有、または民間の金融機関が中心になると予測した。