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新光三越が創業祭で最高売上高、個人消費の底堅さ反映か


ニュース 商業・サービス 作成日:2015年10月2日_記事番号:T00059610

新光三越が創業祭で最高売上高、個人消費の底堅さ反映か

 百貨店大手、新光三越百貨は1日、台北南西店(台北市中山区)など台湾全土の6店で周年慶(創業祭)セール第1弾をスタートした。台北南西店には10万人以上が訪れ、売上高は前年比5%増の4億8,000万台湾元(約17億5,000万円)と、百貨店の創業祭セールとしての単日過去最高を記録した。景気が低迷する中で、個人消費の底堅さを示す現象との指摘が出ている。2日付経済日報などが報じた。


午前11時の開店と同時に多くの客が店内に押し寄せた(1日=中央社)

 台北南西店は午前7時から客の行列ができ、数量限定の化粧品セットは開店直後に売り切れた。同店はセール向けの化粧品計66万セットを用意しているが、初日だけで6万セット売れた。50万元の購入でプレゼントされる過熱水蒸気オーブンレンジは開店からわずか30分でなくなった。

 家電商品も、50台限定のテスコムのビューティーコラーゲンドライヤーが開店後30分で売り切れた他、日本と同価格をうたったタイガーの電気ケトルや象印の炊飯器は1時間で品切れとなった。

 新光三越の呉昕陽執行副総経理は、「化粧品の4日間のプリセールは前年比8%以上で、顧客単価も購買意欲も予想以上だ」と語った。

創業祭の売れ行きの指標

 台北南西店は、百貨店業界の創業祭セール全体の売れ行きを占う指標との評価がある。商圏の人口構成が整っており、旧・衣蝶百貨(イデー)の二館、三館と合わせて、アパレル、靴、バッグ、ブランド、化粧品、児童用品、家具、家庭用品と、若者から老人までのあらゆる消費層に合わせた商品を販売しているためだ。

 台北南西店の2013年売上高は91億元で、新光三越全体の740億元の約8分の1を占め、今年も約8分の1になることが予想されている。また、同店の創業祭セールの売上成長率は、新光三越の他の店舗との差が1.5%以内に収まる。こうした数値データから、「百貨店業界の創業祭は新光三越南西店が良ければ良く、悪ければ不振だ」と言われており、新光三越の他店舗の幹部や、ライバルの太平洋崇光百貨(太平洋そごう)や遠東百貨の幹部も南西店の模様を見学に訪れるほどだ。

創業祭への消費集中、ますます顕著に

 その南西店が好調な出足となったことについて呉副総経理は「内需は不景気とは思えない」と話した。国家発展委員会(国発会)経済発展処の呉明蕙処長も「今は自信を欠いているだけだ」と指摘。実際、今年個人消費は2.6%の拡大が予想されている。

 一方、百貨店での消費が創業祭シーズンに集中する傾向はますます顕著になっており、呉副総経理も「普段は手が出ない高価格商品を事前にチェックして、創業祭でまとめて購入する人が増えている」と説明する。特定のシーズンのみを選んで買い物をする消費動向が反映した、一時的な現象にすぎない可能性もある。

 個人消費の拡大が予想される一方で、今年の商業売上高は8月まで6カ月連続で前年割れを更新中だ。中華経済研究院(中経院、CIER)が1日発表した9月の非製造業総合指数(NMI)は45.3で、2カ月連続で「景気後退」となった。呉中書中経院院長は「内需は冷え込んでいる」と発言している。新光三越台北南西店の盛況が果たして内需の堅調さの証明なのかは、引き続き観察が必要なようだ。

【表】