ニュース 政治 作成日:2015年10月6日_記事番号:T00059664
来年1月の総統選挙で国民党公認候補となる洪秀柱同党副主席(立法院副院長)の人気が低迷し、立法委員選挙の情勢に悪影響を及ぼす懸念が深まっていることを受けて、同党は洪氏に代えて朱立倫主席を立てることを決断。既に9月下旬から3回にわたって洪氏に出馬辞退を迫っていたことが分かった。今月中に臨時党大会を開催して朱氏擁立を決定する方針だが、辞退を拒否する洪氏は法的手段によって出馬資格を守る考えとも伝えられており、党内に大きな亀裂が生じる可能性もある。6日付蘋果日報などが報じた。
洪秀柱氏は、中華民国原則派としての立場でのみ発言し、中間層に配慮する姿勢がほとんど見られなかったため「洪氏降ろし」を招いた(中央社)
国民党幹部と洪氏に近い人物によると、最初は9月22日に李四川国民党秘書長が、2回目は25日に朱主席自身が洪氏に出馬辞退を説得した。朱主席は支持層の反発や党有力者からの圧力、低い支持率などを挙げて立候補取りやめを求め、自身と組む副総統候補になることを打診したが、洪氏は、党の制度に基づいて正式に決まった候補であることを理由に拒否した。朱主席は10月3日に改めて翻意を求めたものの、洪氏の考えをは変わらなかった。
明日7日に開かれる党中央常務委員会では、洪氏に不満を持つ委員が、公認候補交代を視野に臨時党大会の開催を提案する。党中央は今月17日か24日に臨時党大会を開催して、公認候補指名に関する規約を改正、その上で洪氏の指名を取り消して、指名小組(小委員会)と臨時中央常務委員会で朱氏の指名を決定、全体会で確認と、1日で洪氏から朱氏への候補者交代を決める構えだ。
洪氏、不退転の決意強調
一方、洪氏は5日、中国時報の電話取材に対し、「臨時党大会でいかなる判断が下されようが辞退はしない」と不退転の決心を語った。国民党の「洪秀柱降ろし」の動きに「失望した」と語りつつ、「党勢が落ちても滅亡ではないが、価値観と魂を失えば滅亡だ。私は初心を貫徹する」と強調した。
洪氏陣営では、王金平副主席(立法院長)が馬英九総統との政争の際に、党籍確認の仮処分が裁判所に認められて地位を守った例を参考に、指名資格保全の仮処分を提出することも検討している。ただ国民党幹部は「指名規定はもともと党が定めたものであり、洪氏を交代させても法的な問題は生じない」との認識だ。
「党主席としてあらゆる責任を尽くす」と発言する朱主席。最初から自身が立候補していればこのような流れにはならなかったのだが(6日=中央社)
立法委員は歓迎
洪氏降ろしの動きに、国民党立法委員からは「変えないよりは良い」など歓迎の声が上がっている。廖国棟立法委員(台東県)は、「洪氏の発言は混乱を生んできたため、交代によって一定の支持が回復することは確実だろう。ただ、成功(当選)できるかは分からない」と語った。羅淑蕾立法委員(台北市)も、「選挙情勢にはプラスだ。ただ、洪氏は正規のプロセスで公認資格を得ており、よく話し合って納得してもらう必要がある」と述べた。
統一発言で流れ固まる
洪氏降ろしの流れを最終的に決定付けたのは、「中華民国憲法は最終的には統一だ。最後にはやはり(中国との)統一が必要だ」という洪氏の今月1日の発言だったとされる。それまで「党を尊重する」とのみ語り、自身の意見を明示してこなかった馬総統が「(洪氏の発言は)主流民意ではない」と批判。これを受けて党中央は洪氏降ろしを強力に展開することを決めたようだ。
ただ、洪氏を支持する中華民国原則派は反発しており、7日の中央常務委員会開催時に党本部に抗議に赴くと表明している。朱主席に交代した上で総統選に敗れた場合、その後の党内紛争の火種になる可能性がある。
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