ニュース 政治 作成日:2015年10月19日_記事番号:T00059885
与党国民党は17日、臨時全国代表大会(党大会)を開き、総統選公認候補を人気が低迷した洪秀柱副主席から朱立倫主席に変更する決定を行った。投票日まで3カ月を切った時点での候補者交代は前代未聞。民進党の大幅リードが伝えられる総統選の逆転勝利は困難との認識の下、立法委員選挙の情勢を挽回して党勢力の極端な弱体化を防ぐことに選挙戦の主眼を置くとみられる。
朱主席は公認指名を受け、「厳粛な気持ちですべての党員の負託に応えたい」と決意を語った
(17日=中央社)
朱氏は「総統選と立法委員選でともに壊滅的な敗北を喫すれば、民進党の一党支配となる。チェックアンドバランスが働かなければ民主は失われる」と主張。さらに「国民党が立法院で多数を失えば、敗北するのは中華民国であり、両岸(中台)の平和だ」と述べた。民進党が多数を占めることで独裁と混乱がもたらされると有権者の危機意識に訴えかけた。
また、国民党の強みである対中関係で、積極的に攻勢に出る姿勢を見せた。朱氏は民進党から出馬する蔡英文主席に対し、中台関係をテーマにディベートの実施を呼び掛けた。「蔡氏は中華民国と両岸関係にどのように向き合うのか。『現状維持』とは彼女がただ語るだけのものなのか。それとも国民党が堅持する『1992年の共通認識(92共識)』の下での現状か、馬英九総統の『統一せず、独立せず、武力行使せず』なのか」と述べ、中台関係の現状維持をいかに実現するのかを明確にするよう蔡氏に求めた。中台関係をめぐる論戦呼び掛けは、「最後にはやはり統一が必要だ」と語っていた洪氏では不可能だったことだ。
朱主席は情勢回復に向けて、米国、日本を訪問する考え。関係者によると、訪米は11月上旬から中旬にかけて1週間を予定している。
朱主席への候補者交代で、民進党寄りの自由時報が19日付で報じた支持率調査によると、蔡氏45.2%に対し朱氏は21.9%と2倍以上の開きがあるものの、洪氏に比べ3.4ポイント上昇した。特に泛藍(汎国民党陣営)支持層では支持率が洪氏よりも7.8ポイント高まった。また、18日付蘋果日報によると、民進党は新北市で立法委員8議席の獲得を見込んでいたものの、朱氏への候補交代によって5議席に下方修正した。国民党は現職10人のうち7人が議席を維持できると見通しの改善を表明。桃園市で民進党にリードを許していた選挙区でも情勢を五分五分に回復させたとみている。朱氏への交代によって、国民党の北部の立法委員選挙の情勢を改善させる効果が期待できそうだ。国民党は最低でも立法院の議席の3分の1以上、38議席を確保し、50議席を目指す方針と伝えられる。
なお、朱氏は新北市長兼任のままの立候補となり、19日の市政会議で市長職を休職し、侯友宜副市長が代理市長を務めると発表した。朱氏は、総統選には出馬せず市長職を任期満了まで務めるとこれまで何度も表明したため、約束を守れなかったことを謝罪した。これに対し民進党新北市市議団は、即時の市長辞任を求めて抗議した。
81%が公認取り消し賛成
洪氏の公認取り消しは、臨時党大会に出席した993人の党代表のうち812人、81.8%が賛成した。出席者数は参加資格のある党員のうち6分の1で、近年では最も参加者が少なかった。洪氏は「指名取り消しの合理性、正当性、手続きの合法性には強い疑問があり、認めることはできないが、党員として受け入れざるを得ない。党が私を求めなくても、私が党を捨てることは絶対にない」と話した。臨時党大会の会場となった台北市の国父紀念館には洪氏の支持者数百人が抗議に訪れた。支持者からは今後党主席を目指すよう求める声が上がっている。
ディベートは回避
一方、民進党の蔡主席は18日、台北市の党本部の隣に選挙対策本部を立ち上げた。朱氏による中台関係をテーマとしたディベートの呼び掛けに対して王閔生同党広報担当は、「国民党は『一中同表(中国と台湾が中国全体の一部であることを相互に表明する)』など、社会から懸念を受ける主張を提示したりする。まず自身の政策を整理してからにすべきだ」と発言した。同党は現段階でディベートに応じる考えはないとみられる。
蔡主席は、有利な情勢の下、中台関係の安定維持の具体策には踏み込まない方針とみられる(17日=中央社)
蔡氏は18日の選挙対策本部開設の際の演説で、「私の両岸政策の重点は、台湾の自由で民主的な生活スタイルと既存の憲政体制、および両岸の間で平和で安定し発展する関係を維持することを含む『現状維持』だ」と主張した。
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