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飲酒運転常習犯の実刑規定、収監者激増で緩和


ニュース 社会 作成日:2015年10月23日_記事番号:T00059968

飲酒運転常習犯の実刑規定、収監者激増で緩和

 台湾では2013年、飲酒運転の減少を目的に、5年以内に3度検挙された場合、実刑を罰金刑に換えることが認められず、刑務所に収監される罰則強化策を導入した。しかしこれにより刑務所に収監者があふれる事態となり、台中地方検察署は今年2月に収監条件を緩和した。


陳威力内政部長(右)は立法院での質疑応答で「実刑規定の抑制効果は大きいが、収監者増加も問題であり、折衷案を探る」と表明した(23日=中央社)

 台湾における飲酒運転による収監基準はかつて地方によって異なり、6種類の基準が存在していた。これを問題視した法務部は13年、「5年内に3度」の全土統一基準を導入した。

 同基準には、▽アルコールを含む料理を食べるなど飲酒を原因としないもの▽交通事故を起こしていない▽呼気アルコール濃度が1リットル当たり0.55ミリグラム以下▽2度目の検挙から3年以上が経過している▽アルコール依存症治療を受けている──場合は罰金刑に換えることが認められるとの条件が設けられたが、収監者は急増した。

 法務部の統計によると、飲酒運転を理由とするものが約9割を占める「公共危険罪」で新たに刑務所に収監された受刑者の数は「5年以内に3度」規定導入前の12年には6,384人だったが、導入年の13年は7,585人、さらに14年は1万168人まで増加。現在、一部の刑務所では収監者の約4分の1が飲酒運転による受刑者となっているそうだ。

 また、台中監獄(刑務所)では収監人数が収容能力を1,000人以上上回っており、1人当たりのスペースが規定の0.7坪に満たない状況となっている。

 事態を重く見た台中地検は今年2月、罰金刑に換えることが認められる条件から「呼気アルコール濃度0.55ミリグラム以下」を削除することを決め、検察長の承認を得た。条件の緩和以降、現在まで約300人が収監を免れているという。

 ただ収監条件の緩和に対し、検察官の一部からは再犯率が高まると懸念する声も上がっている。しかし台中地検は「緩和以降8カ月間で4度目の検挙者は出ていない」と悪影響は出ていないと強調した。

 なお精神科医は、飲酒運転を減らす有効な手段としては収監だけでなく、アルコール中毒治療を強制的に受けさせるなどの方法があるが、現在、検挙者に治療を受けさせる法的規定は設けられていないと指摘した。