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「国民党色強い校歌廃止を」、政治大で学生が署名運動


ニュース 社会 作成日:2015年10月27日_記事番号:T00060022

「国民党色強い校歌廃止を」、政治大で学生が署名運動

 名門国立大学、政治大学(台北市文山区)は、国民党の幹部養成学校を前身とするため校歌の歌詞に「わが党」など党派色の強い文言が数多く登場する。このことが学生や教師の反発を呼んでおり、同校で校歌の歌唱拒否や廃止を求める署名運動が発生している。

 1927年、国民党は党幹部を養成する目的で南京市に「中央党務学校」を創設。その後「中央政治学校」への改編を経て46年に「中央幹部学校」を合併、「国立政治大学」に改称された。国民党政府の台湾移転後、同大学の復活の機運が高まり、54年に台北県(当時)に再設立。その後、人文および社会科学分野の名門校としての地位を築いた。

 同校の校歌は中央政治学校時代に創作され、党の重鎮だった陳果夫氏が作詞を手掛けた。その内容は「三民主義の実践こそわが党の使命」「中華民国の建国はわが党の責任」といった当時の国民党の理念を色濃く反映したもので、孫文が黄埔軍官学校の校訓として定めた「親愛精誠」のスローガンで締めくくる。

 しかし、民主化が進み、国民党の一党独裁体制が終結して25年以上が経過した現在、国立大学の校歌が党のために尽くすことを求める内容となっていることに反発が高まっており、学生コミュニティーの「政大野火陣線」は今月20日より校歌の廃止を求める署名運動を開始。これまで既に学生、教師から1,000人以上の署名を集めている。


署名最終日の27日。校内の広場での演説会に学生らが集まった(政大野火陣線フェイスブックページより)

 また政治大では年に一度、新入生による合唱コンクールが開催されているが、そこでは「指定曲」として校歌を歌うことが義務付けられており、毎年のように議論となっている。

 そんな中、昨年アンケート調査が実施され、学生、教師の56%が校歌の歌詞を変えたいと回答したことから、その後、校歌創作コンテストが開催され、「領航」という名の新たな校歌を選出。大学側に同曲を合唱コンクールの指定曲とするよう求めた。しかしこの要求を大学が拒否したため、今年のコンクールでは既に5学部が校歌の歌唱をボイコットすることを決めている。

 なお政治大の「校歌問題」は10年以上前から論争が繰り広げられており、04〜06年にかけて9度にわたり学内会議で議題にかけられ、「わが党」を「われら」に変更するなどの修正案が提出されたが、投票で多数を得られず、却下された。

 現時点で議案は再提出されていないが、卒業生を含め、徐々に「時代に合ったものに変更すべき」との意見が増えているようで、前学長の鄭瑞城氏も「時期が来れば校歌の変更は実現可能だ」と語っている。