ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2015年10月27日_記事番号:T00060045
冷延ステンレス鋼大手の千興不銹鋼(CSSSC、台南市)は26日の董事会で、11月1日から操業を1カ月間停止することを決定した。台湾内外で激しい値下げ競争が長く続いており、千興は販売するほどに損失が拡大していた。操業停止の間、100人以上の従業員は無給休暇とする。ステンレス産業の苦境が表面化した格好で、川上、川下のサプライチェーンに衝撃が走った。27日付経済日報が報じた。
千興は1972年設立。仕入れた熱延鋼を冷延ステンレス鋼に加工して、主にステンレス鋼管メーカーに供給している。加工工程が短いため、仕入れコストが収益を左右する。
葉碩堂同社董事長は、熱延鋼の仕入れ価格が低く、加工製品の納入価格も大幅に下落したため、業界はどこも必死の商売だと指摘。運転資金を確保するためやむなく赤字の商売を行っているところもあるが、同社は従業員、株主、産業など多岐にわたって熟慮した結果、操業停止を決意したと話した。1カ月で600万台湾元(約2,200万円)余りの電気代節約を見込む。1カ月様子を見て再び対策を練る方針だ。
葉董事長は、千興の月産能力は1万トンだが、景気は最悪で顧客への毎月の納入量はわずか2,000〜3,000トンに落ち込んでおり「操業を続ける意味がない」と嘆いた。在庫は約1万トンあり、顧客の5〜6カ月分の需要は満たせるため、短期的には販売面での影響はないと語った。
利息引き下げ要求へ
千興は2013年に3億3,500万元、14年に8,500万元の損失を計上した。現在の負債は約15億元に上る。利息は年3%近いため、毎月の支払利息だけで350万元以上に上る。本業で稼げない中、支払利息が大きな負担となっている。
業界関係者によると、千興はきょう27日に銀行団と交渉を行い、1.5〜2%への利息引き下げを求める方針だ。うまくいけば他のステンレス関連メーカーの苦境脱却に光明が差すとして、交渉結果に注目が集まっている。
付加価値向上に活路
業界関係者によると、世界的なステンレスの生産過剰、ニッケル価格の大幅下落、相場破壊の値下げにより、ステンレスメーカーの多くはここ2年間、川上、川下問わず収益を上げられていない。
こうした中、ステンレス大手は事業転換などを進めて対応している。最大手の燁聯鋼鉄(YUSCOステンレス・スチール)は川上のニッケル鉱石事業に触手を伸ばし、既存の電気炉を有効活用している。また、唐栄鉄工廠は400シリーズの新製品開発に成功した。加工工程を長くし、付加価値を高めることに活路を見出している。
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