ニュース 電子 作成日:2015年11月2日_記事番号:T00060149
半導体メモリーのパッケージング・テスティング(封止・検査)大手、力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)は30日、中国の国有半導体大手、紫光集団から194億台湾元(約720億円)の出資を受けると発表した。紫光集団はパワーテック株の25%を取得し、筆頭株主となる見込み。実現すれば台湾の半導体企業が中国から出資を受ける初のケースとなる。31日付経済日報などが報じた。
パワーテックの蔡董事長(中)は「紫光集団からの出資受け入れ後も台湾市場の開拓を続け、既存顧客を維持できるほか、中国シェアを拡大できる」と期待感を示した(30日=中央社)
パワーテックが実施する第三者割当増資のうち、2億5,900万株を紫光集団が1株75元で引き受ける。手続き完了後、紫光集団はパワーテックに董事1人を派遣する。
パワーテックの蔡篤恭董事長は出資金の使い道について、8割を台湾での最高レベルの3次元IC(3DIC)封止・検査工場建設、10〜15%をシンガポールのウエハーバンピング工場の生産能力拡充、残りを中国・蘇州工場の生産拡大に充てると説明した。
パワーテックは紫光集団の投資企業と半導体産業サプライチェーンの垂直統合を進め、長期的な業務提携関係を築く。蔡董事長は、パワーテックの売上高はDRAMが3割、フラッシュメモリーが7割で、メモリー展開を積極化している紫光集団と組めば、受注が流出したり市場で脇に追いやられることはないと強調した。
パワーテックは半導体メモリー封止・検査で世界シェア5位。米キングストンテクノロジーから約14%の出資と、董事4人を受け入れており、東芝の100%出資会社、台湾東芝先進半導体からも董事1人の派遣を受けている。蔡董事長は、同社の主要顧客も日米の大株主も、紫光集団からの出資、董事受け入れを前向きに見ていると明かした。
経営支配権は放棄
パワーテックの蔡董事長は、紫光集団からの出資受け入れは完全に合法であり、来年1月15日に臨時株主総会を開いて議論する予定と説明。株主の承認取得後、経済部工業局と投資審議委員会(投審会)に審査を申請し、早ければ同年上半期に手続きが完了すると見通しを示した。
紫光集団はパワーテックへの出資に当たり、パワーテックの経営支配権を握らないことを確約している。具体的な確約事項は▽パワーテックの経営者に就任、または経営者を派遣しないこと▽派遣する董事の数がその他株主の董事の合計を上回らないこと──など。
工業局の呂正華副局長は、審査申請書を受領後、重要技術審査チームを設置し、中台産業の提携にとって利益となるかを判断すると述べた。
NANDフラッシュに専念
紫光集団の趙偉国董事長は1日、同社はDRAM市場に進出する計画はなく、NAND型フラッシュメモリーに専念すると明かした。NAND型フラッシュメモリーチップの研究開発(R&D)と生産能力はインテルとの提携を通じて取得しており、パワーテックへの出資で重要な後工程の封止・検査リソースが手に入ると説明した。
趙董事長はさらに、DRAM大手、南亜科技の総経理を先月辞職した高啓全・華亜科技(イノテラ・メモリーズ)董事長が近く、イノテラ董事長も辞職し、紫光集団で職に就くと明かした。イノテラは2日、高氏の董事長辞職を発表している。趙董事長は、高氏はDRAMを主な専門分野としてきたが、紫光集団が将来NANDフラッシュメモリー工場を建設する際に、高氏の工場建設と管理の経験、人脈を生かしたいと語った。
狙いはマイクロンか
紫光集団は人材も確保した格好だ。また、パワーテックも南亜科技も米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーのサプライヤーであり、紫光集団がマイクロンに接近したい意図もうかがえる。紫光集団は今年7月、マイクロンに買収を提案した。
メディアテック合併に意欲
趙董事長はまた、中台の半導体産業が提携すればウィンウィンを実現できるが、台湾政府の規制が多いと指摘し、規制を緩和すればすぐに台湾IC設計最大手の聯発科技(メディアテック)の蔡明介(ミンカイ・ツァイ)董事長と会い、クアルコムを追い抜くために傘下の展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)などとの合併を進めてもよいと表明した。
これに対し蔡董事長は、中台半導体産業の提携構想は同社の立場と同じであり、政府が認めさえすれば、オープンな態度で提携に臨み、半導体産業における華人企業の地位、競争力向上を目指すと語った。
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