ニュース 電子 作成日:2015年11月3日_記事番号:T00060175
中国の国有半導体大手、紫光集団の趙偉国董事長が、台湾政府が出資規制を緩和した場合、傘下のIC設計企業と聯発科技(メディアテック)との合併を進める意向を示唆したことを受けて、鄧振中経済部長は2日、「現在は恐らく緩和の適切な時期でなく、まだ検討中だ」と慎重な姿勢を示した。経済部は条件付きでの規制緩和の検討作業は進めており、早ければ年末にも具体案が公表される可能性がある。3日付経済日報などが報じた。
鄧経済部長は、紫光集団の趙董事長が先月、台湾が市場開放に応じなければ、台湾製半導体などの中国販売を禁止すべきと中国政府に提言したことについて、「脅迫じみた要求で感心しない」と不快感を示した(2日=中央社)
紫光集団の趙董事長は「中台の半導体産業が提携すればウィンウィンを実現できるが、台湾政府の規制が多い。規制を緩和すれば、クアルコムを追い抜くために、傘下の展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)、鋭迪科微電子(RDAマイクロエレクトロニクス)とメディアテックとの合併を進めてもよい」と表明していた。
これに対しメディアテックは2日、「中国資本による台湾IC設計業への投資を開放し、半導体産業で中台が提携する構想は蔡明介(ミンカイ・ツァイ)当社董事長の従来からの立場でもある」と同調した。さらに台湾政府に対して「台湾IC製造業に対する中国資本投資管理弁法に似た規範の下で、条件付きで台湾IC設計業への中国資本投資を開放すべき」と提言した。中台大手2社の志向は一致している。
しかし、鄧経済部長は「各企業に要望があるのは承知しているが、政府としては中台提携のメリット、中国資本受け入れが台湾の雇用に影響しないか、台湾の技術的優位を確保できるかなど全体を考慮した上で決定する必要がある。企業の要望をそのまま実現できるわけではない」とくぎを刺した。
条件付きでの規制緩和は検討段階だ。経済部幹部によると、条件の案としては▽中国企業が実効支配力を持たないこと▽中国企業が新システムを開発した際、台湾メーカーからの部品調達を確約すること──などが挙がっている。
経済部は2010〜12年、ファウンドリー、パッケージング・テスティング(封止・検査)、DRAMなど半導体関連業界への中国資本による投資を条件付きで認めてきたが、設計分野は投資の他、同業間の提携も未解禁だ。
金管会・中銀トップは賛成
一方、金融、財政担当機関のトップからは、台湾IC設計業への中国資本からの条件付き投資規制緩和に賛成する声が相次いで示された。金融監督管理委員会(金管会)の曽銘宗主任委員は、合意の下であればメディアテックと紫光集団傘下企業の合併に賛成だと明言。彭淮南中央銀行(中銀)総裁も、台湾企業が技術と経営権を確保できれば中台提携は悪くない考えだと述べた。
張盛和財政部長は、合併後は中国のサプライチェーンに入り、シェアを拡大できると指摘。ただ中核技術の流出は避けなければならないと語った。
外資系証券会社の大多数も、メディアテックと紫光集団傘下企業が提携すれば価格交渉力を強化でき、中国、世界市場でシェアを拡大できると前向きにみている。メディアテックは中国市場で深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)やスプレッドトラム、RDAの猛追を受けている。
「懸念は杞憂」
もちろん、メディアテックが紫光集団と組めば、技術や人材が流出して企業価値を失うばかりか、台湾IC設計業界からリーディングカンパニーが消滅すると懸念する声もある。これについて工業技術研究院(工研院)知識経済競争力研究センターの杜紫宸主任は、メディアテックは業界で世界2位であり、自社の特許、技術などコア・コンピタンス(中核的競争能力)への防御は固めていると述べ、懸念は杞憂(きゆう)だと一蹴した。
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