ニュース 政治 作成日:2015年11月4日_記事番号:T00060200
馬英九総統と習近平中国国家主席が7日、シンガポールで会談を行うことを総統府が明らかにした。中台首脳会談の実現は1949年の分断以降で初めてで、歴史的な対面となる。総統府によると、共同声明の発表や協定締結は行わない。馬総統には「一つの中国」の制度化に道筋を付けて歴史に名前を残したい思惑があるとみられるが、会談の内容によっては有権者の反発を招いて、国民党の総統・立法委員選挙情勢にさらなる悪影響を与える恐れもある。
馬総統。中台首脳会談には全世界の注目が集まる(4日=中央社)
会談は午後3時から約1時間で、終了後それぞれ記者会見を開き、双方は夕食会で再び席を共にする。総統府幹部によると、馬総統と習主席はお互いを「台湾の指導者」「大陸の指導者」と呼び、対等の立場をアピールする。
会談の目的について陳以信総統府報道官は「両岸(中台)の平和と台湾海峡の現状維持を強固にするため」と説明した。行政院大陸委員会(陸委会)幹部は「最初に現状について意見交換し、得難い両岸関係の現状をいかに強固にするか、および今後の平和と繁栄への発展方向を議論する」と話した。
会談の実現について総統府関係者は「2年間の交渉の結果だ」と説明。陸委会幹部が「過去数週間、中国側との協議は順調に進んだ。相手方にも興味がある」と話していることから、台湾側が積極的に仕掛けた可能性が高い。
その前提に立てば、会談推進の背景には、退任を半年後に控えた馬総統の名誉欲があるとみられる。すなわち、現状では国民党と共産党の共通認識である「一つの中国」を、制度的枠組に昇華させるか、またはそれへの道筋を付ければ、遠い将来の中台統一に貢献する役割として歴史に名前を残せるとの思惑ではないか。協定締結は行わないため、双方がどのような発言をするのかが注目される。
「誰も支持しない」
ただ、昨年のヒマワリ学生運動に見られたように、台湾の民意は中台の政治接近に警戒的だ。馬総統には選挙に向けて、中台関係の安定を図る国民党の手腕をアピールしたい意図もあるとみられるが、踏み込んだ表明をした場合、総統選はもとより立法委員選挙の情勢にも悪影響を及ぼしかねない。
民進党は4日、中台首脳会談は「国家としての必要性、人民の支持、国会の監督の下」で行われなければならないと主張し、会談の目的や今の時期を選んだ理由、馬総統がどのような発言をするのかについて明確な説明を行うべきとの声明を発表した。
本土派団体が相次いで総統府前に訪れ、首脳会談中止を訴えた(4日=中央社)
ヒマワリ運動を機に生まれた小政党「時代力量」は4日午前、立法院と総統府の付近で抗議活動を行った。洪秀柱副主席がいったんは総統候補に選出されたことに不満を示し、今年7月に国民党を除名された紀国棟立法委員も抗議に加わり、「誰も中台首脳会談を支持しない」と訴えた。本土派は、首脳会談を契機に台湾の将来の選択肢に枠がはめられることを最も警戒している。
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