ニュース 政治 作成日:2015年11月5日_記事番号:T00060227
馬英九総統は5日午前総統府で記者会見を開き、7日シンガポールで行う習近平中国国家主席との史上初の中台首脳会談について、「両岸(中台)の指導者による会談の常態化への基礎を築くものだ」と述べ、中台関係のさらなる強化に重要な意義を持つと説明した。ただ大手紙のアンケート調査では過半数が開催に反対しており、一般市民は冷ややかな目で見ているようだ。
中台関係深化の意義を再三強調した馬総統だったが、なぜ総統選前にあえて首脳会談を開くのかという疑問に対しては説得力のある回答を示せなかった(5日=中央社)
馬総統は過去7年半の任期で、台湾海峡の平和と現状維持に最も注力したと説明。「統一せず、独立せず、武力を行使せず」の方針の下、台湾海峡は過去66年で最も平和な状態になったとして、中台関係は既に格上げの時期を迎え、首脳会談の機は熟したとの認識を示した。そして、「今後誰が中華民国の総統になっても、この基礎の上で両岸関係を推進できる」と語り、次期政権にも引き続き中台関係を発展させることを望む考えを示した。従来、中台首脳会談を開く条件として「国家の必要性、人民の支持、国会の監督」を挙げていたが、「これらはすべて達成できる」と語った。
首脳会談は、歴史に名前を残すための個人的動機や、選挙を視野に入れての判断ではないかとのメディアの質問に対しては、「あくまでも両岸交流の深化のため」と否定した。さらに、会談後に中国と水面下で協定を結んだり、約束を結んだりすることはなく、透明性と公開の方針を守ると強調した。
AIIB・物品協定、譲歩要求か
5日付工商時報によると、馬総統は首脳会談で、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への早期加盟と、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)の物品貿易協定の年内交渉妥結に向けて中国が善意を示すよう習主席に求める考えだという。
物品貿易協定は交渉が困難な分野に差し掛かっており、鄧振中経済部長は「首脳会談は交渉加速にプラスだ」と期待感を示した。
中台首脳会談の報道を受けて、4日の台湾株式市場の加権指数は143ポイント(1.65%)の上昇となり、特に聯発科技(メディアテック)、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス、台塑)、統一企業(ユニプレジデント)など、中国市場でのビジネスに注力する大企業の上昇が目立った。
過半数が反対
行政院大陸委員会(陸委会)の夏立言主任委員は4日、陸委会の調査によると中台首脳会談は民意の8割の支持を得ていると主張した。3日深夜に情報が流れた首脳会談に対し、いつ調査が行われたのかも含めて疑問が湧く数字で、「台湾が過度に中国に傾斜しない」「統一を話し合わない」といった条件が前提でなければあり得ないものだ。
蘋果日報が5日報じたアンケート調査(サンプル数420件)では、賛成は38.81%にすぎず、反対が53.1%と過半数を上回った。反対は、馬総統は退任するため中台関係は次の総統に任せるべきとの意見だという。
蔡英文民進党主席も「間もなく退任する馬総統が、この時期に個人の政治的評価のために台湾の将来に枠をはめることを国民は絶対に許さない。馬総統に自ら責任を負えないことを約束する権利はない」と厳しく批判した。
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