ニュース 社会 作成日:2015年11月9日_記事番号:T00060279
台中市西区の公園には樹齢1,000年を超える1本のアカギの大木が生えており、地元の歴史を見守り続けてきた存在として住民に愛されている。しかし2年ほど前、この木のすぐ近くでマンション建設計画が持ち上がり、樹木の生育に影響が及ぶのではないかと懸念された。そこで、官民一体となって対策を協議した結果、マンションは別の場所に建設されることが決まり、地元のシンボルともいえる老木の命は守られることとなった。
このアカギの大木は台湾大道、均安街付近にあり、木の高さは30メートル、樹冠の面積は1,500平方メートルにも及び、平地のアカギとしては台湾最古かつ最大とされ、地元住民の誇りとなっている。
そんなアカギが存在する公園に隣接する土地に一昨年、地上28階、地下4階の高層マンションを建設する計画が持ち上がった。これを知った地元住民は、用地の開発によりアカギの根が切断され、枯れてしまうのではないかとの懸念を抱き、木を救うための運動を開始した。
そして運動の発生を受けて胡志強・台中市長(当時)も介入。建設業者に対し、容積率移転に関する優遇措置の提供を交換条件として、別の土地に建設するよう働き掛けた。
その結果、建設業者は既にマンションの予約販売を完了していたにもかかわらず「台中人の思い出を守る」ことに同意し、同地での建設を中止。計543坪の用地を市政府に寄付することを決定した。樹木の保護を理由に建設計画が中止となったのは台湾で初めてのケースだ。
なおアカギの木の「健康診断」を行った専門家は、近くにある3階建ての「活動センター」が冬季に日光を遮っている他、公園内の地面がコンクリートで固められていることが根の通気や水分、養分の吸収を妨げている可能性があると指摘した。
これを受けて台中市建設局は、活動センターを1年以内に取り壊し、地面のコンクリートやアスファルト、レンガなどについても3年以内に撤去する方針を固めた。
これほど手厚く保護されるアカギの木は今後もずっと、地元の街を見守り続けていくことだろう。
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