ニュース 社会 作成日:2015年11月10日_記事番号:T00060305
台湾各地で大気の悪い状態が続く中、9日には中南部の14カ所の観測所でPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が10段階分類で最悪の「非常に高い」となり、立秋(今年は8月8日)以降で大気汚染が最も深刻な一日となった。工場のばい煙や車の排ガスなど台湾域内の大気汚染物質が、気候条件により拡散されなかったことが主な原因だ。台中火力発電所では1989年の設立以来初めて、大気汚染対策として発電量を制限した。10日付聯合報などが報じた。
台南市では大気汚染により9日早朝から見通しが悪く、多くの人がマスクを着けていた(9日=中央社)
行政院環境保護署(環保署)によると、9日は新営(台南市)でPM2.5の濃度(1立方メートル当たり)が138マイクログラム(μg)と台湾全土で最悪となり、これに善化(台南市)の132μgが続いた。また▽林園(高雄市)、125μg▽嘉義、119μg▽斗六(雲林県)、116μg▽大里(台中市)、114μg──と軒並み110μgを上回った。環保署の分類では71μg以上で「非常に高い」となるため、中南部の大気汚染がいかに深刻であるかが分かる。
環保署によると、例年11月から3月は北東の季節風の強まりとともに、中国大陸からのPM2.5が飛来して大気汚染が深刻化するが、9日は中国の沿岸部で雨となり、大気中の汚染物質の多くは洗い流されていた。このため、同日の中南部の大気汚染の主因は台湾域内で排出された汚染物質だった。同署監資処の蔡鴻徳処長は、中南部では北西の風が弱かったため、大気汚染物質はまず台中市で滞留し、その後彰化県、雲林県などに南下したと説明した。
環保署の統計によると、台湾全土のPM2.5年間排出量は約7万4,000トン。このうち車両が排出源の23%を占め、中でもディーゼル車や2ストロークエンジンを使用したバイク(2ストバイク)が多い。中部地区の主な排出源は鉄鋼工場や発電所などで、PM2.5の平均濃度が高止まりする要因となっている。
発電装置2基分を停止
台中火力発電所は8日、1日当たりの発電量を550万キロワット(kW)から450kWへと100kW減らした。台中市政府の要請に応じたもので、1日当たりの発電量が各55万kWの発電設備10基のうち、1基は年次保守を開始し、残り9基は発電量を5kWずつ減少させた。大気汚染の悪化を受けて約2基分の稼働を止めた計算だ。
台中火力発電所を運営する台湾電力(TPC)の広報担当者は、同発電所は石炭を使用しているため、大気汚染物質の排出量がもともと多いと説明した。発電量をいつまで制限するかは今後の大気汚染の改善度合い次第という。
台中火力発電所で発電量を減らす間は、苗栗県の通霄火力発電所と新北市の林口火力発電所で大気汚染物質の排出量が比較的少ない天然ガスを使用して発電し、台中の発電減少分を埋める。
TPCはこれまで、経済的な理由でコストのより安い燃料を使用して発電量を増やし、他の地域の電力不足を賄ったことはあるが、今回のようにコストの割高な天然ガスを使用して石炭火力発電所の不足分を補うのは初めてだ。TPCの発電コストは1.5倍増加するとみられる。
高雄は10日も高め
環保署は、10日は北東の風が強まり、中部では大気汚染が改善するが、高雄市や屏東県の大気は依然悪いと予想し、外出時にはマスクを着用するよう呼び掛けた。
10日午後1時現在、台湾各地のPM2.5の濃度は高雄市の復興・小港の59μg(高レベル)が最高で、高雄市では高くなっているが、その他は全般的に「低レベル」の35μg以下となっている。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722