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パスポートに「台湾国」シール、来年から禁止


ニュース 社会 作成日:2015年11月18日_記事番号:T00060442

パスポートに「台湾国」シール、来年から禁止

 台湾独立を支持する市民の間では、自分のパスポートの表紙上部にある「中華民国」の文字を「台湾国」と印刷されたステッカーで覆い、中央部の国章の上に台湾黒熊(ツキノワグマ)など台湾を象徴した動物などのシールを貼るという運動が以前から広がっていた。しかし今年5月、「パスポートに改変を加えてはならない」との内容を盛り込んだ条例改正案が立法院を通過。来年元日から施行されることになっており、外交部はこのほど、「違反した場合、パスポートが取り消される可能性もある」と注意を呼び掛けた。


台湾国パスポート使用者の中には、海外の税関で中国人と誤解されたくないとの思いもあるとのことだ(陳致豪氏のフェイスブックページより)

 外交部領事事務局(領務局)の龔中誠局長は、「現在のパスポートのデザインは9年前に与野党が合意して決定したものだ」と強調した上で、「外交部は個人の政治思想を尊重するが、パスポートは法的効力を持つ公文書のため、勝手に改変した場合、その真偽に疑念が生じることになる」と説明した。

 その上で、来年以降パスポートを改変し、原状回復に応じなかった場合、次回更新時に新たなパスポートの発行にかかる期間が通常の4営業日から2カ月〜半年に延びる、またはパスポートの有効期限が10年から1年半〜3年に短縮される。さらには最悪の場合は発行が認められない場合もあると指摘した。

 龔局長はまた、既に米国在台協会(AIT)から「国名や国章を隠したパスポートを所持していた場合、米国への入国が拒否される可能性がある」との通達を受けており、実際に先日、「パスポートに貼った『台湾国』のステッカーを剥がさなければ手続きに応じない」とAITに注意された市民がいたことを明らかにした。

 さらにフィリピンの出入国管理機関からも改変されたパスポートは認められないとの通達を受けた他、「台湾国パスポート」を所持した市民がマカオへの入境を拒否されたケースも紹介した。

 外交部の姿勢に対し、「台湾国」ステッカーを考案した台中市の喫茶店店主、陳致豪氏は「言論の自由を保障する憲法に違反する」と批判し、今後もステッカーの普及を推進する」と表明。台湾独立建国聯盟の陳南天主席も「外交部の動きは台湾市民に脅しを加えるものだが、多くの市民が今後も引き続きステッカーを貼り続けると信じる」と語った。

 なお「台湾国パスポート」運動の推進団体によると、今年7月から現在までにステッカー25万枚が希望者に送付されており、これを貼ったパスポートを使用して80カ国以上に無事入国できたことが確認されているという。