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3年前の物資募集広告が拡散、幼稚園「もうよそに回して」


ニュース 社会 作成日:2015年11月20日_記事番号:T00060496

3年前の物資募集広告が拡散、幼稚園「もうよそに回して」

 貧困家庭の子女が多く通う幼稚園が経営難に陥り、寄付を呼び掛けるという内容のポスター画像が最近インターネット上で拡散され、同園に善意の物資が大量に送付されている。しかし、実はこのポスターは3年前に作成されたもので、現在は幼稚園の財務状況は改善しており、園側は「物資は支援の必要な人に回してほしい」と発表する事態となっている。


3年前の「修道女の願い」ポスター。物資募集期間の記載などがあれば誤解は避けられたかもしれない(安徳幼稚園ホームページより)

 同ポスターを作成したのは花蓮県秀林郷にあるカトリック系の安徳幼稚園。1975年創設の同園は修道女が管理、運営を担い、質素な環境の中で長きにわたり幼児教育を行ってきた。しかし3年前に経営難に陥ったことから「修道女の願い」というタイトルのポスターを作成し、子供用の古着や食糧、玩具などの寄付を市民に呼び掛けた。

 このポスターは当時、社会の大きな関心を引き、瞬く間に大量の物資が寄せられ、これによって同園は存続の危機を脱することができた。

 しかし、このポスターが、なぜか今年10月ごろから再びインターネット上で大量に拡散され、勘違いした市民が衣類や食品を相次いで同園に郵送。現在、園庭には1万件以上の物資が山積みとなっている。同園の園児は49人で、教師7人、修道女2人が勤務しているが、寄せられた食料を消費しきれず、一部が腐って異臭を放ち始めている他、避難経路をふさぐなど安全面にも影響が出ている。

 このため地域のボランティアが集まって、物資を必要とする周辺住民に配っているが、トラックで10回ほど配っても配り終わらない状況で、「修道女の願い」が「修道女の悪夢」に変わったと嘆く声も聞かれる。

 同園の関係者は「台湾人の善意には驚かされる」と語るが、実際には物資の整理や問い合わせの電話対応に追われ「ありがた迷惑」というのが本心のようで、このほどホームページ上に「支援物資の受け入れを一時停止する」との告知を行った。

 本人は善意のつもりでも相手にとっては迷惑となることもある。何事もよく状況を確認してから実行に移したいものだ。