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住宅地の朝食店、騒音問題で朝8時まで営業禁止に


ニュース 社会 作成日:2015年12月2日_記事番号:T00060708

住宅地の朝食店、騒音問題で朝8時まで営業禁止に

 桃園市の住宅地にある朝食店で朝早くから始まる仕込み作業で生じる騒音によって、睡眠が妨害され、健康に異常を来したなどとして同店の隣人が提訴。音量を録音して計測するなどハイテクを駆使して集められた証拠を基に、桃園地方法院はこのほど朝食店に対し「午前8時まで業務を行ってはならない」とする判決を言い渡した。

 昨年11月、ある夫婦が住む桃園市八徳区の住宅の隣に1軒のセルフ式朝食店がオープンした。同店では月曜日から土曜日まで毎日、午前2時、3時から食材を包丁で切ったり、豆乳用の大豆をひくなどの作業が始まり、その音は隣の家まで響きわたったため、夫婦は連日、睡眠不足に悩まされた。ついには神経衰弱、動悸(どうき)、頭痛などの症状に見舞われ、病院での治療が必要となった。

 こうした状況に耐えきれなくなった夫婦は、慰謝料を求めて朝食店の女性店主を提訴。当初、裁判所は双方に和解を勧め、夫婦も静かな生活が取り戻せればいいとこれに同意したが、店主は「原告を悩ませている原因がうちの騒音とは証明できない」と主張し、争う姿勢を崩さなかった。

 その後、今年6月に同店は100メートルほど離れた場所に移転したが、店主の自宅だった元の店舗では相変わらず毎日早朝から仕込み作業が続けられた。これを受けて夫婦は8月、4万台湾元を投じて専門業者を雇い、監視カメラや録音機を設置。食材を切る音、台車の音、焼き包子(パオズ)を焼く音、ガスボンベを引きずる音などを記録した。

 これらの騒音はいずれも騒音規制基準に達していなかったが、裁判官は「現場は桃園市が騒音規制区に指定している住宅地であり、『騒音規制法』には規制区内で飲食業を含む動力機械を使用する商業行為を行ってはならないと明記されている」と指摘。最終的に店主に対し、慰謝料20万元の支払いと午後10時〜午前8時の作業を禁止する判決を言い渡した。

 ただ、判決に対し別の朝食店業者からは「8時からしか営業できなくなれば、一体誰に売ればいいのか」と不満の声が上がっている。また、学生や通勤族も「朝ごはんを買う場所がなくなり、コンビニエンスストアがもうかるだけだ」と指摘している。

 弁護士は「今回の判決は珍しいケースだが、被害者が医師の診断書を提出したり、被害を証明できる証拠を提示できれば裁判官を納得させられる」との見方を示した。