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作成日:2008年3月13日_記事番号:T00006071
中国の銀行への間接投資、解禁を閣議了承
台湾の銀行業界で懸案となっていた中国の銀行に対する間接出資を20%まで認めることなどを盛り込んだ新規定が12日、行政院会議(閣議)で了承された。13日付工商時報が伝えた。
行政院金融監督管理委員会(金管会)の胡勝正主任委員は同日、「1週間以内に関係手続きが終了し、銀行からの申請を受け付ける」と述べた。
銀行業界では、富邦金融控股が中国のアモイ銀行に19%を出資することで合意していると伝えられるほか、上海商業儲蓄銀行もルクセンブルク経由で中国の上海銀行に対し間接出資しており、今回の措置は業界動向を追認する色彩が強い。
今回の解禁は当面、金融当局間の管理監督体制で合意している香港を経由した間接投資を想定している。香港と中国本土の経済貿易緊密化協定(CEPA)によれば、香港では総資産60億ドル以上の銀行に中国の銀行への出資を認めており、富邦金融控股の香港子会社、香港富邦銀行は総資産70億ドルで既に条件を満たしている。
現時点で中国の銀行に対する直接投資を認めない理由について張俊雄行政院長は、「金融監督協力に関する両岸(中台)の合意を待つべきで、現時点では海外子会社を通じた間接投資が望ましい」と説明した。
一方、今回の新規定では、金融機関のオフショア銀行部門(OBU)が中国に進出した台湾企業に対し行う無担保融資の上限(現行は純資産の10%)が撤廃される。ただ、担保付き融資を含めた融資全体の上限は、総資産の30%とする現行規定が据え置かれる。
富邦金、早期申請の意向
新規定が閣議了承されたことを受け、富邦金控の龔天行総経理は「金管会が新規定を実施した段階で、速やかに申請を行う」とした上で、香港子会社を通じた中国の銀行への出資は「実質的な経営権を掌握し、中国に進出した台湾企業へのサービスを拡充することが狙いだ」と指摘した。アモイ銀行への出資交渉が基本合意に達していると報じられていることについては具体的な説明を避けたが、「いかなる銀行とも出資合意に署名していない」と述べ、フライングを否定した。
金管会は銀行に続き、証券会社に関しても中国への間接出資を解禁する方向で検討を進める方針だ。