ニュース その他分野 作成日:2015年12月3日_記事番号:T00060760
行政院会は3日、外国人労働者の台湾での就労制限の大幅緩和を閣議決定した。ポイント制の対象拡大などにより、高度人材(いわゆるホワイトカラー)の雇用に際し、2年以上の職務経験と最低月額給与4万7,971台湾元(約18万円)も必須条件でなくなる。来年1月の実現を目指し、年間8,000人の受け入れ増を見込む。ハイテク、機械など産業界は歓迎ムードだが、労働団体などは台湾労働者の賃金相場が押し下げられると懸念を示した。3日付経済日報などが報じた。
労働部は、台湾人ホワイトカラーが毎年2万~3万人も海外に流出している上、少子高齢化で労働者が来年から年間18万~20万人減少するので、外国人労働者の受け入れ、引き留め策を講じなければ、産業発展に深刻な影響を及ぼすと説明した。
毛治国行政院長は2日、労働部の報告を受け、各部会(省庁)に対し年内の規制緩和を指示した。
最低月額給与4.7万元を撤廃
外国人労働者の受け入れ目標は、▽高度人材、年間3,000人増加(現在1万6,000人)▽いわゆる単純労働者(ブルーカラー)、1,000人増加(現在58万5,000人)▽外国人・華僑留学生、4,000人増加──。
高度人材の雇用については、これまで職務経験2年以上および最低月額給与4万7,971元の支給が必要だったが、今後は月額給与4万7,971元以上を支給するか、ポイント制で学歴・経歴、語学力、専門スキルなどの評価項目が60ポイントに達すればよくなる。海外企業の駐在員の場合は勤務歴1年以上と月額給与4万7,971元以上が求められていたが、勤務歴が問われなくなる。また、これまで雇用主は資本金500万元、売上高1,000万元以上が必要だったが、この規定も撤廃する。このほか、高度人材の配偶者、子女が学歴、給与水準不問で就労許可を申請できるようになる。
劉佳釣・労働力発展署長は、職務経験2年以上の条件撤廃により、例えば聯発科技(メディアテック)、華碩電脳(ASUS)などが新卒のインド人を雇用できるようになると指摘した。
ブルーカラーはこれまで最長12年(ヘルパーなどは14年)しか台湾で就労できなかったが、今後は5年連続の就労で永久居留証か帰化が申請でき、9年以上の就労でポイント制のポイントを満たせば、台湾での就労が続けられるようになる。劉署長は、育成した人材が12年後に台湾を離れ、カナダ、日本、韓国などライバル国・地域に雇用されることを防げると述べた。
外国人留学生は既にポイント制(年間受け入れ枠2,500人)を導入しているが、昨年は卒業生5,800人のうち台湾で就労したのは1,724人と、3割に満たなかった。今後は受け入れ枠の上限を撤廃し、雇用主の資本金、売上高も不問とする。
低賃金問題の拍車懸念も
液晶パネル大手の友達光電(AUO)、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光半導体製造(ASE)は規制緩和に歓迎の意を示した。工作機械部品大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)の卓永財董事長は、グローバル化時代に外国人労働者を雇用できなければ、国際市場を開拓し、規模を拡大できないとして、外国人雇用に意欲的だ。
一方、台湾大学国家発展研究所の辛炳隆教授は、政府は台湾人労働者の低賃金問題に取り組みながら、雇用主に安価な労働力を使用させるのは矛盾していると指摘した。労働団体、台湾労工陣線の孫友聯秘書長は、労働力不足を言い訳にしていると批判した。
工商時報は、高度人材のポイント制が関連専門訓練3,600時間(2年)以上というだけで30ポイント付与するなら、ホワイトカラー名義のブルーカラーが流入すると批判。海外では給与をメーンに学歴や職歴を補完材料として評価しているのに、労働部は評価項目から給与を撤廃することを検討していると指摘し、台湾の高度人材の給与水準が押し下げられると懸念を示した。
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