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産業の新ショーウインドウ、南港展覧館が開幕


ニュース 商業・サービス 作成日:2008年3月13日_記事番号:T00006089

産業の新ショーウインドウ、南港展覧館が開幕

 
 台湾最大の展示会場となる世界貿易中心南港展覧館(台北市南港区)が13日正式にオープンし、初の国際展示会である「台北国際自転車展」が始まった。同館は今後、展示面積の不足が指摘されていた信義区の世界貿易中心(TWTC)に代わり、台湾産業界のショーウインドウとして中心的な役割を果たしていく。展示会に関連した、観光をはじめとした各種ビジネスへの波及効果も期待されている。
 

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南港展覧館の目の前には建設中のMRTの高架が通る。周辺も至る所で整地やビルの建設工事が行われており、まさに南港が生まれ変わるさまが見て取れる(13日=YSN)

展示空間はTWTCの2倍
 
 南港展覧館は、経済部国際貿易局(国貿局)が建設を主導し、対外貿易発展協会(外貿協会、TAITRA)が管理を委託されている。用地取得と建設に総額132億台湾元(約442億6,000万円)が投じられた。敷地面積は約6ヘクタール、大きなクジラにも似た外観で、地下2階、地上7階建てだ。

 展示会場は1~3階と4~7階の上下層に分かれており、床面積はそれぞれ2万2,680平方メートル。上下層合わせて、平均的なブース2,467個の設置が可能で、TWTC1号館の約2倍の規模に当たる。特に4~7階の上層部は、高さが14.3~27.3メートルある東南アジア最大の無柱式展示会場で、3万人規模の大型コンサートが開催できる。

 館内に足を踏み入れると、まず天井の高さに驚く。柱が全くない構造は室内にいる圧迫感を感じさせない。十分な床面積を取っているため通路も7、8人が並んで歩けるほど広く、ゆったりと展示を見ることができる。自転車展に参加したある日系大手部品メーカーの担当者はワイズニュースに対し、「信義区のTWTCでは1館と3館に分かれて展示していたが、ここでは1カ所にまとめて展示できて自由度も高い」と広さへの満足感を語った。一方で、「アクセスがまだ不便で、展覧館員の訓練も十分ではない」と課題も指摘した。

 同展覧館は60億元をかけての2期工事(2012年末竣工予定)も予定されており、将来は南港展覧館だけで5,000ブースの出展が可能となる。
 

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自然光も十分に取り入れられ、省エネへの配慮が感じられる。国際色豊かな自転車展には世界各国からバイヤーが訪れている(13日=YSN)


再開発加速で一大産業拠点に  

 南港展覧館までのアクセスは、現段階では都市交通システム(MRT)板南線の終点駅、昆陽からバス(無料送迎バスで15~20分)かタクシーを利用するが、09年6月にMRT内湖線の開通で南港軟体園区駅が、10年末には板南線の延伸(南港線)で南港展覧館駅が供用開始となり、両駅から徒歩で行けるようになる。これにより、台北市中心部からのアクセスが一気に便利になる。

 南港展覧館の運営に当たる南港国際展覧中心の黄孝寛主任は、「今後は内湖科技園区、南港軟体園区と連携して『三位一体』の商業地帯となる」と、地域の発展の展望を語っている。南港地区では、展示会を訪れるビジネス客の商機をにらんで、高級観光ホテルや大型ショッピングセンターの建設も計画されており、南港展覧会の供用を機に周辺地域の再開発が加速する見通しだ。

展示会ビジネス、経済部も後押し
 
 13日付工商時報によると、南港展覧館には「1億元を投資すれば観光、娯楽、広告などに8億~10億元の波及効果がある」と言われる展示会ビジネスの発展の後押し効果が期待されている。

 外貿協会台北国際会議中心の温月キュウ(火へんに求)主任によると、展示会業界では「次の開催地は理事長夫人の意向で決まる」という冗談もささやかれるほど、開催地の決定に観光の要素が強く関わっている。経済部の06年統計を基にすると、会議や展示会で台湾を訪れるビジネスマンの1日の消費金額は平均197.45米ドルで、滞在日数は会議で3.6日、展示会で5.8日となっている。こうした消費は観光で25億800万元、関連産業も含めると62億6,100万元の生産額をもたらすとされ、経済部国際貿易局も、展示会産業振興に222億元を投入する計画を持っているという。

 ただ、域内製造業が生産を中国に移しておりバイヤーは直接中国へ商談に向かい、また他のアジア各国でもMICE(ミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビション/イベント)の振興に力を入れているため競争は激しい。電子や自動車部品など世界をリードする産業以外では、展示会の盛り上がりが欠けるようになっていることも課題だという。

自転車展、過去最多の参加メーカー
 
 13日に開幕した「台北国際自転車展」はアジア最大の自転車見本市で、今回は内外から過去最多の762社が参加し、2,842ブースの展示を行う。巨大機械工業(ジャイアントMFG)、美利達工業(メリダ)など、有名メーカーがこぞって研究開発(R&D)の成果である最新の製品を発表する。

 また、英国最大の自転車部品販売チェーンのハルフォーズをはじめ、世界数十カ国から大手販売業者が台湾の高品質自転車や部品の買い付けに訪れ、主催者の外貿協会は、一般の参観者を含め、 16日までの4日間で内外から5万人以上の来館を見込んでいる。 

 南港展覧館では今年、アジア最大のIT(情報技術)展示会、コンピュテックス台北や台北国際食品展など13件の大型展示会が予定されている。
 

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