ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

イノテラ、マイクロンが完全子会社化へ【図】


ニュース 電子 作成日:2015年12月15日_記事番号:T00060972

イノテラ、マイクロンが完全子会社化へ【図】

 米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーは14日、同社が33%を出資する台湾のDRAMメーカー、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の株式の残り67%を1,300億台湾元(約4,800億円)で取得し、完全子会社とすると発表した。今後60日以内に正式契約を交わし、政府の審査を通過した後、来年半ばに買収手続きを終える計画で、その後、イノテラは上場を取り下げることになる。15日付経済日報が報じた。


イノテラの李董事長(右2)。台プラは今後、南亜科技のDRAM事業にリソースを集中させる(14日=中央社)

 現在、イノテラの主要株主はマイクロンと台塑集団(台湾プラスチックグループ)で、台プラグループは32%を出資。そのうち傘下のDRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)の持ち株比率が24.2%と最大となっており、同社はイノテラの全持ち株をマイクロンに譲渡することに同意した。

 マイクロンによるイノテラの完全子会社化で、汎用DRAMを本格生産する台湾資本のメーカーが存在しなくなるが、台プラは「今回の取引は当グループのDRAM市場からの撤退を意味するものではない」と強調。南亜科技も、イノテラ株を売却した後、第三者割当増資を通じてマイクロンに315億元を上限とする出資を行うと表明した。

 また、特殊メモリーを主力とする南亜科技は現在、マイクロンより授権した20ナノメートル製造プロセスへの移行を進めているが、今回の取引により、10ナノ世代技術の授権を確実なものとし、将来的なプロセス移行にも保証が得られる見通しだ。

紫光集団の動きに注目

 なおマイクロンについては今年7月、台湾半導体メーカーへの出資に積極姿勢を見せる中国の国有半導体大手、紫光集団が買収を持ち掛け、拒否されたとの観測が浮上した。しかし同集団は依然、マイクロンに対する買収意欲を失っていないとされ、今回、イノテラの完全子会社化に対し、同社が純粋な外国企業となることで紫光集団によるマイクロンを通じた出資が容易になるのではないかとの注目が集まっている。

 これについて経済部投資審議委員会(投審会)の張銘斌執行秘書は、現行規定では中国資本が台湾メモリーメーカーの経営権を掌握することは禁じられており、紫光集団がマイクロンの買収に成功した場合、イノテラ株は清算する必要が生じると指摘。マイクロンによるイノテラの完全子会社化については紫光集団の動きが審査の鍵を握ると語った。

 なお先ごろ南亜科技の総経理職、イノテラの董事長職を辞任した高啓全氏が紫光集団の副総裁に就任するとの観測が出ているが、イノテラの李培瑛董事長は「高氏はマイクロンとの交渉に関わっていない」と強調した。