ニュース 社会 作成日:2015年12月16日_記事番号:T00060976
台東県に住む原住民の男性が高齢の母親に食べさせるため、山に入りカモシカなどを銃で仕留めたところ、野生動物保護法違反などで有罪判決を受け、刑務所に収監されることとなった。しかし判決に対し「原住民文化に対する理解がない」などと批判の声が上がったほか、最高法院検察署が審理に適用された法律が不適当だとして非常上告を申し立て、地元検察署も男性の収監を一時見合わせる措置を取った。
非常上告の知らせを聞いて王さん(右)は母親(左)と喜び、支援者に謝意を示した(15日=中央社)
有罪判決を受けたブヌン族の王光禄さん(部族名・Talum、56)は、日ごろは農業を営んでいるが、一昨年7月、94歳になる母親から「山の珍味が食べたい」との願いを聞き、狩猟用の銃を持って山に入った。
彼は見事、タイワンカモシカとキョン(シカの一種)を1頭ずつ仕留めて翌朝帰ってきたが、これを知った警察に逮捕され、「銃砲・弾薬・刀剣管理条例」および「野生動物保護法」違反で起訴されてしまった。さらに裁判でも「農業を仕事とする被告の狩猟行為は儀式など伝統的な必要に迫られたものではない」などとして3年6月の有罪判決が言い渡された。
その後、王さんは上訴したが、最高裁も先月、従来の判決を維持するとの判断を下した。しかし依然、判決に不満を抱いていた彼は14日に立法院や監察院で陳情を行ったほか、「自分から刑務所には入らない」と宣言し、収監される予定となっていた15日も出頭せずに自宅で待機していた。
また判決に対し、他の原住民からも「ブヌン族の男から銃を没収するということは、部族の文化と糧を得る権利を奪うことに等しい」などと不満の声が上がった。さらに最高検察署もこのほど、王さんの裁判では2005年に設けられた「営利目的でなければ必要に応じて狩猟できる」との規定が適用されていないと指摘し、非常上告を申し立て、これを受けて台東地方法院検察署も王さんの収監を見合わせた。
なお王さんは小さいころから「狩りは男であることの象徴だ」と教えられ、小学生で既に両親に付いて狩猟を行っていたという。初めて仕留めた獲物はキジバトで、焼いて両親に振る舞った際、父親は「うちの子が狩りを覚えた。これで食べ物には困らないぞ」と喜んだそうだ。
原住民の文化と誇りを守りつつ、社会の秩序と自然保護を両立させる。そんな方策が何とか見い出せないものか。
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