ニュース 電子 作成日:2015年12月16日_記事番号:T00061000
中国の国有半導体大手、紫光集団が台湾の半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)大手3社への出資を表明し、警戒感が広がる中、立法院では15日、経済部に対し同出資計画の影響評価を立法院に報告するまでは認可を見合わせることや、中国資本に台湾IC設計への出資開放を当面禁じる決議を来年度予算案に盛り込むことで与野党が合意した。同決議は法的拘束力がある上、立法院は今週18日で閉会するため、紫光集団の出資計画と台湾IC設計開放の是非は、来年2月以降に判断が持ち越されることが確定した。16日付工商時報などが報じた。
蔡主席は「紫光集団は個別の企業だけでなく、台湾の半導体産業全体の支配力を握る可能性があるため、政府は慎重に対応すべきだ」と訴えた
(15日=中央社)
紫光集団は先週、封止・検査台湾2位の矽品精密工業(SPIL)と4位の南茂科技(チップモス・テクノロジーズ)にそれぞれ約25%出資すると宣言。10月には半導体メモリーの封止・検査大手、力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)の株式25%取得も表明していた。紫光集団はIC設計最大手の聯発科技(メディアテック)の買収にも意欲をみせており、矢継ぎ早の出資攻勢に台湾社会は警戒感を強め、既定路線とみられた中国資本に対する台湾IC設計への投資解禁も厳しい情勢となった。
15日開かれた2016年度政府予算案をめぐる与野党協議では、野党民進党の議員団が中国資本に対する台湾半導体産業への出資規制を予算案の主決議に盛り込むよう要求。与党国民党も同意し、今週可決予定の予算案に▽機微な技術を有し、半導体産業の存続に関わるIC設計業は現時点で中国資本への開放を禁止▽半導体産業の機微な技術、国家安全保障、産業への影響評価を立法院に報告するまで経済部投資審議委員会(投審会)による関連の投資・買収案件の認可を禁止▽紫光集団による台湾封止・検査3社への出資計画は、影響評価を立法院に報告するまで認可を禁止──の3点を盛り込む。
主決議の内容は行政院に対して法的拘束力がある。同予算案が今週可決され、立法院が18日で閉会すれば、経済部は立法院が来年2月に開会するまで改選後の次期立法委員に報告できず、関連の投資案件に認可を出せなくなる。
与野党主席が開放に反対
民進党の蔡英文主席は15日、紫光集団による台湾IC設計業への出資意向について、台湾産業への脅威が非常に大きく、世論の不安も強いため、懸念が払拭(ふっしょく)されるまでは中国資本にIC設計を開放する余地はないと述べた。
国民党の朱立倫主席も、台湾にとってIC設計、ファウンドリー、封止・検査産業は非常に重要で、中国の出資に慎重に対応する必要があるが、中でもIC設計は現時点では中国資本を受け入れるべきでないと語った。
来年の総統選に出馬する両主席が中国資本に対する台湾IC設計の開放に反対の立場を示したことで、次期政権では当面投資が解禁されない可能性が強まった。
行政院「政治的議題ではない」
行政院の孫立群報道官は同日、中国資本に対する出資規制を緩和したIC封止・検査と同様、IC設計を開放しても全ての出資案件を認可するわけではないと説明。政府は国家の安全保障を一番に考慮し、次に産業の発展を考えるとして、政治的議題にしないでほしいと訴えた。
電子機器受託生産大手、和碩聯合科技(ペガトロン)の童子賢董事長も、中台の政治関係は敏感な問題だが、サプライチェーンに「色」はないため、産業を前面に置いて関連の議論を進めるべきだと訴えた。
尹啓銘・国民党シンクタンク執行長(元経済部長)は、グローバル企業は中国と投資、技術、市場開拓で戦略提携をする必要があり、一概に中国資本の出資を阻止すれば、中国市場が売上高の6〜7割を占めるメディアテックの活路を閉ざすとの見方を示した。
ファイソン子会社買収も
なお市場では、紫光集団がNAND型フラッシュメモリー用コントローラIC設計の群聯電子(ファイソン・エレクトロニクス)の中国子会社「合肥兆芯電子」(安徽省合肥市)の株式51%買収に意欲があるとの観測が浮上した。これについてファイソンの潘健成董事長は「拒否しておらず、全て交渉中だ」と述べ、出資受け入れを検討していることを明らかにした。
潘董事長は、ファイソンは上場企業であり、政府が中国資本による出資を禁止するならそれに従うが、経営者として株主の利益最大化を考える責任があると強調。ファイソンがグローバル展開を有利に進められるよう、海外子会社で紫光集団との提携可能性を模索していると説明した。
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