ニュース 社会 作成日:2015年12月21日_記事番号:T00061055
昨年末に越冬のため、シベリアから中国江西省の鄱陽湖へ向かう途中で新北市金山区の清水湿地に迷い込み、そのまま居着いていた野生のツルが17日夜に突然、姿を消した。翌18日早朝、都会の真ん中にある台湾鉄路(台鉄)松山駅近くの広場に舞い降りて道行く人を驚かせ、知らせを聞いた台北市動物保護処が保護し、19日午前に再び金山区に放された。
金山区に帰ってきた小鶴は最初は慣れないようすだったが、黄さん(右)が小エビ探しを手伝ってあげるとまたそばにくっついてきたそうだ(19日=中央社)
金山区に住み着いたのはインド、中国、ロシアなどを生息地とする「ソデグロヅル」。同種は「深刻な絶滅の危機にある」として国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されており、現在の生息数は世界で4,000羽程度とされる。
昨年、清水湿地にやってきた当時、まだ羽毛が黄色がかった幼鳥だったこのツルは、同地でレンコン栽培を手掛ける農家、黄正俊さん(75)の畑が気に入ったようで、いつもここで食事を取るようになった。
黄さんは既に子供が成人して経済的な心配がなくなっており、楽しみとして畑仕事を続けていたため、昨年、ツルがやってきた時も「特に何も感じなかった」そうで、ツルの方も仕事をする黄さんを煩わせることなく、一定の距離を取って畑の中で餌を探していたという。
しかしあるとき、ツルは黄さんが鋤(すき)で畑を掘り返した後に小エビなどが土の中から飛び出してくることに気付いたらしく、彼の後を付いて回るようになった。最初は2歩ほど距離を空けて追い掛けていたが、ツルが餌を食べる速度は黄さんが耕すスピードを上回っていたことから何度もぶつかりそうになり、「危ないから下がれ」とツルをたしなめることもたびたびあったそうだ。
このツルに親しみを覚えるようになった黄さんは「小鶴」と名前を付けてかわいがるようになった。しかし小鶴がやってきてちょうど1年余りが過ぎた17日夜、突然、小鶴が姿を消した。
「まるで息子がいなくなったような気分だった」と落ち込んだ黄さんは、隣人や地元の里長に小鶴の捜索を依頼。自らも真っ暗な中、畑に入って探し回っていた18日午前2時ごろ、小鶴は松山駅そばのコンクリートの広場に舞い降りていた。
専門家は、故郷の繁殖地へ帰ろうとしたとも考えられるが、既に渡りの時期も過ぎているため、野犬などに驚いて飛び立った可能性が高く、明かりに照らされた松山駅の広場を水田と間違えたのではないかと指摘している。
小鶴は19日午前、とりあえず金山区に放され、その姿を見た黄さんは「息子が帰ってきた」と喜びの声を上げた。しかし、動物保護団体などからは「できるだけ早く、鄱陽湖に戻してやることが小鶴にとって本当の幸せだ」との声が上がっている。
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