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自己意思で末期治療打ち切り、法案が成立


ニュース 医薬 作成日:2015年12月21日_記事番号:T00061069

自己意思で末期治療打ち切り、法案が成立

 立法院は18日、患者が末期症状に達した場合、不可逆的な昏睡状態に陥った場合、植物状態、極度の知能障害の状態となった場合などについて、患者が事前に治療を拒否する旨を宣言しておけば、患者の意思を尊重し、医師が生命維持装置を外すことを求める内容の「病人自主権利法」を可決した。


国民党の楊玉欣立法委員(中)に民進党の説得を依頼された柯文哲台北市長は18日、「中華圏では家族が病人の代わりに決断を下すことが多く、法制化は病人の自主権を取り戻すもの」と語った(18日=中央社)

 今回成立した法案はアジアでも初となる内容だが、命の尊厳をめぐり、倫理面で論議を呼んだ。施行は公布から3年後となっており、衛生福利部は今後、医学界と詳細を詰めた上で、試験導入などを経て、3年後の正式実施を目指す。

 ただ、患者本人または患者から受託された者が治療中止を希望していたとしても、医師は専門的見地から治療を継続することができ、医師は処罰されない。また、意思決定に当たっては、医療機関が事前にコンサルティングを実施し、事前に意思表明文書を作成しなければならない。文書作成には公証人による公証または行為能力がある2人による立ち会いが必要となる。意思決定後は全民健康保険カードにその旨が追記される。

 台湾大学医学院附設医院(台大医院)でターミナルケアを担当する主任医師、姚建安氏は「患者の選択を増やし、台湾のターミナルケアの向上につながる」と評価した。しかし、医学界の懸念は完全には払拭されていない。

 台大医院創傷医学部の主任医師、陳晋興氏は「拙速な導入は災難を招く。制度の周知をしないまま、患者が治療中止をすれば、医師が従わざるを得ないという誤解が広がれば、医師が専門的判断で患者意思に従わない場合、トラブルになりかねない」と指摘した。