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来年はVR元年、台湾メーカーが続々参入


ニュース 電子 作成日:2015年12月24日_記事番号:T00061156

来年はVR元年、台湾メーカーが続々参入

 台湾メーカーがバーチャルリアリティー(VR)市場の開拓を強化している。マザーボード大手、技嘉科技(ギガバイト・テクノロジー)は傘下のゲーミングブランド「AORUS」から、宏達国際電子(HTC)や米オキュラスVRが発売予定のVR対応ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ、HMD)をサポートするノートパソコン「AORUS X5」を来年投入する。タッチスクリーン制御IC大手、義隆電子(ELAN)は、360度撮影が可能な超小型VRカメラ「LUNA」を来年下半期にまず5万台出荷する。VR元年との期待が高まる来年の商機獲得を狙う。24日付蘋果日報などが報じた。

 市場調査会社ガートナーは、オキュラスVRが来年第1四半期に発売予定のHMD「オキュラス・リフト」がVR対応HMDの需要を刺激し、市場規模は今年の10万〜20万台から来年は200万台、18年には2,500万台以上に成長すると予測している。

 こうした中、ハイテク大手によるVR関連技術・製品への投資が相次いでいる。華碩電脳(ASUS)は最近、オキュラス・リフト対応のデスクトップPC、サムスン電子は11月にHMD「Gear VR」を発売。マイクロソフトは来年第1四半期にHMD「ホロレンズ」を発売すると観測されており、HTCは来年4月にHMD「HTC Vive」を発売予定だ。宏碁(エイサー)もVR対応PCを来年投入する計画で、ギガバイトは「AORUS X5」を来年1月に米国で発表する。


ギガバイトの「AORUS X5」。複数のVR機器に対応する世界初のゲーミングノートPCをうたう(同社リリースより) 

 ギガバイトとHTCの本社はともに新北市新店区内で近い。ギガバイトは、早くから「HTC Vive」との互換性テストを行っていたと明かした。現在はオキュラスVRとも提携中だ。また、12月にVR対応HMD「3Glasses D2」を発表したアジアブランド「3Glasses」もギガバイトとの提携を決め、両社は来年上半期に共同でVR対応PCを投入する計画だ。

価格・VR酔い防止が課題

 ギガバイトは、「AORUS X5」は▽大手各社のVR対応HMDのサポート▽HMDの両眼で90fps(フレーム毎秒)以上の実現▽乗り物酔いに似た「VR酔い」防止──に向け、エヌビディアの「GTX 970」以上のグラフィックスカード搭載、HDMIの伝送速度、USB電圧の安定度が必要と説明。また、VR対応HMDは今後、映像のゆがみ、ぼやけといった問題を解決するレンズ設計が最大の鍵になると指摘した。

 市場調査会社のIDCは、VR対応HMDの今後の課題は▽VR酔い防止▽価格▽コンテンツサービス──と指摘。中でも価格について、普及が一気に進む分岐点となる「スイートスポット」は1万台湾元(約3万7,000円)以下となりそうだが、「オキュラス・リフト」は500米ドル以下、「3Glasses D2」は1万2,888元が市場の予想だと説明した。

LUNA、革新的299ドル

 ELANのVRカメラ「LUNA」は、子会社の義晶科技(Avisonic Technology)が米航空宇宙局(NASA)研究センター発のスタートアップ「Memora」と共同開発。直径6.5センチメートルの球型で、世界最小をうたう。前後に画角190度の4K/2K魚眼レンズを備え、360度をカバーする。スマートフォンで遠隔操作でき、撮影後すぐにクラウド上でVRコンテンツを鑑賞できる。来年1月6〜9日に米国で開催される国際家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で展示する予定だ。

 フェイスブックやYouTube(ユーチューブ)では360度動画のアップロードが可能になったが、360度撮影が可能な既存のカメラは価格が6,000〜6万米ドルと高く、サイズも大きい。ELANの葉儀晧董事長は、「LUNA」の販売価格は299米ドルで、革新的製品になると強調した。今後は搭載チップ3枚をシステムオンチップ(SoC)に統合し、直径5センチに縮小するほか、電池の持続力を向上させる方針だ。 

【表】