ニュース 社会 作成日:2015年12月25日_記事番号:T00061170
台湾大学公共衛生学院は24日、PM2.5(微小粒子状物質)が引き起こした狭心症、脳卒中、肺がん、慢性閉塞性肺疾患の慢性病により昨年、台湾全土で6,281人が死亡したとの研究結果を発表した。これら慢性病による死亡者全体(3万3,774人)の19%に当たる。
台大公共衛生学院の陳為堅院長(右3)は「今後もPM2.5がもたらす健康被害の全貌を明らかにしていく」と表明した(同院リリースより)
同4種類の慢性病による死亡者全体のうち、PM2.5を原因とする比率を県市別に見ると、高い順に▽雲林県、21.8%▽南投県、21.7%▽高雄市、21.6%▽嘉義県、20.7%▽屏東県、20.1%▽金門県、20.1%▽台中市、20%▽台南市、19.9%▽彰化県、19.9%──となり、中南部で特に大気汚染が深刻化している状況がうかがえた。
一方、桃園市、新竹県市、苗栗県、台北市、新北市、基隆市などの北部の県市は15〜18%、宜蘭県は11.6%、台東県は9.1%、花蓮県が8.7%で最低となった。
公共衛生学院の詹長権副院長は、北部では大気汚染の主な原因が交通関連となっている一方、中南部は工場や火力発電所が原因と指摘。政府は市民の健康被害を防ぐため、大気汚染物質の排出基準を厳格化するなど、より多くの政策を打ち出す必要があると提言した。
このほか同研究機関は、約10万人の健康診断データを6.7年追跡調査し、空気中のPM2.5濃度が10マイクログラム/立方メートル(μg/m3)高まるごとに肺結核に罹患(りかん)するリスクが39%上昇するとの研究結果を示した。台湾大学流行病学・予防医学研究所の林先和副教授は、大気汚染物質を吸い込めば肺結核に罹患するわけではなく、結核菌感染が主因だが、汚染物質の暴露量が多いほど感染リスクが高まる理由はPM2.5が肺に浸入し、免疫機能を低下させるためとの認識を示している。
環境保護署(環保署)のデータによると、台湾の昨年の平均PM2.5濃度は25μg/m3で、世界保健機関(WHO)の基準値の2.5倍となっている。また衛生福利部疾病管制署(疾管署)の統計では、昨年1万1,326人が結核に感染したことが分かっているが、同署ではPM2.5濃度を10μg/m3引き下げることができれば、肺結核の症例を年間2,000件以上減らせると試算している。
なお蘋果日報は、一般的なマスクではPM2.5の吸入は防げず、ろ過効率の高い「N95」規格の製品でも効果は限られるため、大気汚染が深刻な場合は外出せず、窓を閉めて屋内に待機することが最善と指摘。外出の必要がある場合は、特に汚染が深刻な地域を避け、運動をしないよう提言している。
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