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総統選テレビ討論会、対中政策で攻防


ニュース 政治 作成日:2015年12月28日_記事番号:T00061189

総統選テレビ討論会、対中政策で攻防

 総統選の与野党3候補による1回目の公開テレビ討論会が27日行われ、対中政策をめぐって激しい舌戦が繰り広げられた。選挙戦を優位に進めている蔡英文民進党主席は、現在中台間で交流の基盤となっている「1992年の共通認識(92共識)」について、「唯一の選択肢ではない。誠意ある対話によって両岸(中台)関係の安定を維持できると信じる」と発言。これに対し朱立倫国民党主席は「台湾にとって非常に危険だ」と批判した。28日付聯合報などが報じた。


3候補者による討論だったが、蔡主席(右)と朱主席(中)が批判し合う場面が多かった(28日=中央社)

 蔡主席は、92共識が合意されたとされる92年の香港会談について、実際は「相互に理解し、異を残して同を求める」ことのみが合意され、その基礎の上に中台関係が推進されてきたとの認識を示しつつ、92共識にはさまざまな解釈があるため、依然共通認識を求めていく必要があるとの見解を示した。朱主席は「蔡主席は92共識に対し徹底的にあいまいだ。台湾の将来はあいまいにはできない」と蔡主席を批判した。宋楚瑜親民党主席は、92共識を支持する立場を表明した。

紅色供給網、「国家的対策が必要」

 台湾への脅威が取り沙汰されている中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)への対応について蔡主席は、国家的な対応が必要で、企業が単独で攻勢にさらされることのないよう政府が資金面でバックップすべきと発言し、対抗していく考えを示した。朱主席は「われわれは恐れない。重要なのは台湾サプライチェーンに競争力を持たせることだ」と訴えた。宋主席は「政治のてこと対岸(中国)との対話を利用できる。協力すれば利益がある」と語り、台湾サプライチェーンは役割を明確化して中台間で協力すべきとの見方を示した。

米国産豚肉、開放を示唆

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入に向けて課題となる、成長促進剤ラクトパミン(通称・痩肉精)を含む米国産豚肉の輸入問題について、蔡主席は「日本や韓国の基準を参考にする」と述べ、条件付きでの開放を示唆した。朱主席は「食品の安全は最も重要で、基準は厳格でなければならない」と強調した。

大勢には変化なし

 討論会では中台関係や国際関係、経済開放などのテーマで朱主席が蔡主席に攻勢をかける場面が目立ったが、国民党寄りの聯合報が討論会終了後に行った支持率調査では蔡主席39%、朱主席19%となり、選挙戦の大勢に影響を与えるには至らなかったようだ。