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中国資本の不動産投資、投機が最大目的


ニュース 建設 作成日:2008年3月14日_記事番号:T00006120

中国資本の不動産投資、投機が最大目的


 中国資本による台湾不動産市場への投資規制の緩和が、5月の新政権発足後に具体化すると観測される中、台湾投資に関心を持つ中国の不動産業者の半数近くが、購入と売却価格の「差額を取る」すなわち投機を目的にしていることが、台湾業者が今月中国杭州の不動産業者に対して行ったアンケート調査で明らかになった。民進党、国民党の両総統候補とも規制緩和に前向きだが、過熱を起こさないためには投資対象や投資額などの制限措置も必要になってくる。経済誌「今週刊」の最新586号が報じた。
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 アンケートは、北区房屋の彭培業総経理が今月8日、中国杭州市で開催した台湾不動産市場に関するセミナーで行ったもので、523件の有効回答を得た。

 「規制が緩和されれば、台湾での不動産投資に関心があるか」という質問には、67%が「ある」と回答。投資目的は、「差額を取る」が44%で最も多く、次いで「賃貸して利益を得る」が27%、「ビジネスで使う」が17%となった。

 興味のある投資対象は、「土地の開発」が34%で最も多くなった。次いで「オフィスビル」22%、「高級住宅」19%、「店舗」17%となっている。

 検討する投資額は、「500万~1,000万人民元(約7,100万~1億4,200万円)」が37%で最大の割合を占めた。次いで、「1,000万~3,000万人民元」が29%で、3,000万元以下で全体の66%を占める。「3,000万~6,000万人民元」という回答も14%に上った。 

 台湾不動産市場にいつ投資を行うか、という質問では、「両岸(中台)の規制緩和が確定した後」という回答が43%で最も多かった。政策的開放のほか、中国不動産業者の27%が、「両岸関係が安定するかどうか」に強い関心を持っていると回答した。
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台北101の賃貸価格に驚き

 台湾の現在の不動産価格は、中国の不動産業界からは、高額であるとは全く思われていないようだ。彭総経理が台湾の1坪130万台湾元(約427万円)の高級住宅の紹介を行ったところ、セミナー参加者から「まあまあの価格だ。我々も杭州に1坪220万元の物件を持っている」という答えが返ってきた。

 また、中国の不動産開発大手、北京万通実業集団の馮侖董事長は、以前台北101ビルの林鴻明総経理と会談した際、101ビルの1坪当たりの賃貸料が3,000元と聞かされて、「安い」と驚いたという。中国不動産業者によると、台湾の不動産価格は香港やシンガポールの4分の1の水準だ。

香港の上昇、再現か

 不動産業界では、中国資本の流入による地価上昇に対する期待が強い。香港は2003年に中国本土との間で経済貿易緊密化協定(CEPA)を結び、これを契機に中国資本が不動産市場に流入し、1坪当たりの台湾元換算の地価は、03年当時の約79万元から07年は2倍以上の180万元へと上昇した。業界ではこうした状況が台湾で再現されると期待している。

 なお、北区房屋によると、台湾側には中国資本に対する投資規制があるが、中国政府も企業・個人の台湾投資を許可していない。彭総経理は、「両岸がWin-Win(ウインウイン)の関係になるべきだ。双方のビジネス、マネーの流れの開放が、市場から最も望まれている」と語っている。

馬候補、「半年以内に実現」

 中国資本による台湾不動産市場への投資規制緩和について、国民党の総統選候補である馬英九氏は今月、「就任後、半年以内に実現」というタイムスケジュールを提示している。

 一方、民進党の謝長廷候補も開放には賛成の立場ながら、投機発生への懸念から「産業やオフィスビルなどに投資対象を限定すべき」と語り、比較的慎重な姿勢をとっている。