ニュース 電子 作成日:2015年12月29日_記事番号:T00061239
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)は29日、同業大手、矽品精密工業(SPIL)に対する2回目の株式公開買付(TOB)を予定通り開始した。SPILは28日、両社の提携に向けた協議を前提に、TOBを見送るよう呼び掛けたが、ASEは中止すれば関係者に対する背信行為に当たると説明。SPILが初めて見せた歩み寄りを黙殺し、来年10月にも経営権を掌握する構えだ。29日付経済日報が報じた。
SPILは28日、ASEに対し、来年1月28日の臨時株主総会の実施を見送るとして、第2次TOBの取りやめを求め、▽世界の主要市場で反トラスト法(独占禁止法)所轄機関に結合の審査を申請し、認可を取得する必要性▽SPIL株主の権益保障のため、TOBの買取価格1株55台湾元(約200円)の根拠の説明▽SPIL従業員の権益保障──について、来年1月4日までに書面で回答するよう求めた。
ASEは6時間の会議を経て、第2次TOBについて、22日に既に発表していることを理由に実施を決定した。また、株式の希釈化を防ぐため、出資比率を49.71%に引き上げると説明。これにより、ASEがSPIL株を保有して満1年となる来年10月にも臨時株主総会を開催し、董事会の改選時期を早め、SPILの経営権を掌握できるとも指摘した。同時に、SPIL株を100%取得するまでは、もし紫光集団を引受先とする第三者割当増資の計画を撤回するならば、提携協議に応じると呼び掛けた。
ASEの決定に対しSPILは同日夜、当面回答を控えるとコメントした。業界では、ASEはSPIL側の停戦提案に応じず、潤沢な資金を利用して経営権を掌握する意向で、そうした方向に向かうとの見方が出ている。
SPIL、独禁法で時間稼ぎ
ASEが9月にTOBでSPIL株式24.99%を取得したことに対し、SPILはこれまで▽鴻海精密工業との資本提携(10月の臨時株主総会で否決)▽中国の国有半導体大手、紫光集団を引受先とする第三者割当増資(経済部による影響評価報告を優先するよう12月に立法院が決議)──などさまざまな買収防衛策を打ち出してきた。
経済日報によると、SPILは第2次TOBの阻止は困難と認識していたが、世界主要市場での独占禁止法の審査通過を条件に挙げることで政府を絡ませ、ASEによる買収時期を遅らせたい考えだ。SPILは、ASEが初回のTOBで単なる出資と説明しながら、3カ月後には100%出資の完全買収を示唆したことから、友好的な提携関係を築く気があるのか、疑念を抱いている。
市場関係者は、SPILは紫光集団からの出資受け入れでASEからの買収防衛および中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)入りの一挙両得を狙ったが、中国資本に対する台湾社会の警戒感を高める状況を招き、ASEが業界の救世主と目されるようになったと指摘した。
ASE、公平会に審査申請
公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)の邱永和副主任委員は28日、ASEから企業結合審査の申請書類が提出されており、書類がそろい次第、早ければ1カ月後に結果が出ると述べた。邱副主任委員は、ASEは他社の議決権の3分の1以上を取得し、事業の会計年度の売上高が150億元を超え、結合する事業の売上高が20億元を超えるため、審査が必要と説明した。
第一金投顧(ファースト・キャピタル・マネジメント)の陳奕光董事長は、ASEの出資比率が49.71%に上昇しても50%を超えていないので、反トラスト法には違反しないとの見方を示した。
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