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TSMC16ナノ圧勝、サムスンが投資減速か


ニュース 電子 作成日:2016年1月4日_記事番号:T00061267

TSMC16ナノ圧勝、サムスンが投資減速か

 サムスン電子はこのほど設備メーカーに対し、ロジックIC工場の拡張ペースを緩めるため、予定していた設備の購入を見送ると突然通知したもようだ。アップルの「iPhone7」向けプロセッサー「A10」の受注の大部分を台湾積体電路製造(TSMC)に取られたことで短期的な受注見通しが悪くなり、工場拡張を続ければ生産能力に大幅な余剰が生まれてしまうと判断したとされる。業界では、先進プロセス競争でTSMCの16ナノメートル製造プロセスがサムスンの14ナノに圧勝した証しと受け止められている。4日付経済日報などが報じた。

 TSMCとサムスンによるアップルのプロセッサー受注競争は従来から業界の注目点だ。サムスンは昨年、14ナノでiPhone6s向け「A9」の生産をTSMCより早く開始したが、一時的にリードしたにすぎず、TSMCが同年第3四半期に16ナノで「A9」量産を開始して以降、サムスンとアップルの蜜月関係は薄れていったようだ。

 ある設備メーカーによると、サムスンの受注見通し悪化は自社スマートフォンの販売不振も一因とされる。業界では、サムスンのロジックIC生産能力拡充が後ずれすれば、ファウンドリー受託価格の安定と市場の健全性維持に貢献すると指摘されている。

 サムスンが今年計画する設備投資額は100億米ドルを下回るとされる。一方、外資系証券会社によると、TSMCは120億米ドルと前年の1.5倍に増やす予測だ。アップルからの受注が増える中、16ナノに加え10ナノの生産能力拡充も急ぐとみられる。

四半期ごとに業績向上

 外電の報道によると、アップルが今年下半期に発売するとされるiPhone7は「A10」のほか、インテルのモデムチップ「XMM7360」を搭載し、ともにTSMCが3月から量産するとみられる。証券会社は、両チップの受注効果でTSMCの今年の業績は四半期ごとに伸び、通年売上高、利益は過去最高を更新するとの予測を示した。

 業界関係者によると、TSMCは「A10」と「XMM7360」量産後、第2四半期からウエハー投入枚数を毎月増やし、同期後半に出荷を開始する。中でも「A10」は自社の統合ファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(InFO-WLP)技術で生産し、今年半ばにiPhone7の組み立てメーカーに納品する。このため、TSMCの16ナノ、28ナノは第2四半期にフル稼働になると予測されている。

 TSMC内部でも、半導体市場の在庫消化が間もなく完了し、第1四半期に景気が回復して非需要期ながら需要が見込めると楽観視しているようだ。証券会社は、TSMCの第1四半期売上高は前期から横ばいか小幅成長にとどまるが、第2四半期から大きく伸びると予想した。

【表】