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鴻海がインド投資拡大、スマホ月産250万台へ


ニュース 電子 作成日:2016年1月13日_記事番号:T00061456

鴻海がインド投資拡大、スマホ月産250万台へ

 インドメディアの報道によると、鴻海精密工業は今年インドに数百万米ドルを投じ、スマートフォン月産能力を250万台へと、現状より2.5倍拡大する計画だ。鴻海のインド工場ではマイクロソフト(MS)、華碩電脳(ASUS)などからの受注が相次いでいる。「メーク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」商機に目を付けた鴻海は、早期進出メリットが膨らむ見通しだ。13日付経済日報が報じた。

 鴻海のインドのアーンドラ・プラデーシュ(AP)州の工場は現在、組み立てのラインが25本あり、月産能力100万台、従業員6,000人。鴻海は既に総面積50万平方メートルのビル3棟を確保している。5~6カ月後に完成し、生産ラインが10本増える予定で、年内に1,000人以上を募集するとみられている。

中国製輸入より低コスト

 インド紙ザ・タイムズ・オブ・インディアによると、人口12億を抱えるインドのスマホ市場は急速に成長しており、2017年に世界2位の規模に拡大する見通しだ。潜在的な市場規模が大きいと、大手ブランドがこぞって進出。インド当局が現地生産を求めていること、およびコスト面から、現地で受託生産のパートナーを探している。

 郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海董事長はこうした「メーク・イン・インディア」商機を狙い、昨年自らインド当局関係者を訪問し、2020年までにインドで工場を10~12基建設し、就業機会100万件を創出すると宣言した。

 現在スマホ生産の中心は中国だが、報道によると中国で製造したスマホをインドに輸入すると、インド製よりコストがかかる。このため、ブランド企業は受注増に対応できる鴻海のインド工場での受託生産を相次いで求めているという。

 鴻海インド工場に生産を委託しているのはMS、ASUSのほか、▽米インフォーカス▽小米科技(小米、シャオミ)▽深圳市金立通信設備(Gionee)▽魅族科技(Meizu)▽広東欧珀移動通信(OPPO)▽一加科技(ワンプラス)──の名前が上がっている。今年は顧客が倍増するとみられている。

300ドル以下が人気

 このうち小米は、2015年10月に鴻海との提携を発表し、鴻海インド工場に「紅米2プライム」生産を委託している。アップルのハイエンド機種に対し、小米は地元消費者が好む300米ドル以下のローエンド機種でインド市場に挑んでいる。

 なお、インド市場首位はサムスン電子で、シェア25%。2位はインド現地ブランドのマイクロマックス、3位はインテックスでシェア10~17%。聯想集団(レノボ)はシェア10%近いが、小米とアップルは5%に満たない。

部品は当面輸入で

 鴻海がインドでスマホを増産するためには、関連部品調達が鍵となる。

 業界関係者は、鴻海科技集団(フォックスコン)の部品生産だけでは足りないので、他の部品メーカーから海運などで輸入していると指摘した。ただし、部品メーカーはリスクを恐れ、当面は現地工場を建設しないとの見方を示した。

 部品メーカーのインド工場建設には、用地や建物取得コスト、人件費などのほか、現地政府から有利な条件を引き出すことができるかという問題がある。数年前にパソコン受託生産メーカーに従って中国・四川省成都市、重慶市に工場を建設したものの、中国の人件費など生産コストが上昇、さらにはPC需要低迷の直撃を受けた苦い経験も、部品メーカーのインド進出にとってマイナス材料だ。 

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