ニュース 政治 作成日:2016年1月17日_記事番号:T00061523
総統選挙で初当選を果たした民進党の蔡英文氏は、経済政策として「スマート台湾」推進を挙げ、産業構造の転換を図る方針だ。具体的には、新たな成長エンジンとして▽グリーンエネルギー、台南▽スマート製品、「アジアのシリコンバレー」桃園▽バイオテクノロジー、台北市南港~新竹県竹北~中部科学工業園区(中科)~南部科学工業園区(南科)▽精密機械、台中▽国防産業──を掲げ、特性を生かした地域発展により、台湾の国際競争力を向上させる。従来の中国依存、電子製品の輸出依存から脱却することで、中国経済減速の影響、中国政府の支援で勢力を増す「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」の打撃を緩和する狙いもある。
蔡氏は重点産業として「未来産業」、「グリーン産業」、「生活産業」を挙げた。「未来産業」では、台湾のハードウエア製造の実力と、ソフトウエア研究開発(R&D)の潜在力が武器になるIoT(モノのインターネット)やビッグデータ関連で4兆台湾元(約14兆円)の市場規模を創出できると見込む。「グリーン産業」としては2025年の原発ゼロを掲げ、「生活産業」では観光、介護、農業などでの生活の質向上、就業機会の創出を図る。
このうち観光産業は、25年に生産額1兆2,000億元が予測されている。蔡氏は、台湾人がノービザ(査証免除)で訪問できるのは148カ国・地域に上る一方、台湾のノービザでの外国人観光客受け入れは現在48カ国・地域しかないなど問題点を指摘し、内需の成長の柱、国際交流のパイプ役として改善に取り組む。
庶民の低収入と住宅価格高騰問題に対して蔡氏は、仕事や家庭を営む上で、誰もが自分で負担でき、安心して暮らせる住まいが必要との考えで、社会住宅(賃貸専用の公営住宅)を若年層や経済的弱者に優先的に提供する考えだ。
「経済と中国」が課題に
蔡氏は、馬英九政権の対中傾斜を修正しつつ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を視野に、米国産牛肉や豚肉の輸入解禁問題に取り組むほか、日本については従来の電子製品、光学部品、自動車、デジタルコンテンツに加え、IoT、エネルギー、スマートシティーなどの分野で提携を緊密化させる方針だ。「新南向政策」として、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドとの関係も強化する。
柯文哲台北市長は投開票日の数日前に、中国とは現状を維持するだけでも困難で、蔡氏の課題は「中国と経済」と指摘した。新政権が中国経済に頼らずに実績を出すのは、時間がかかるとの見方もある。
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