ニュース 政治 作成日:2016年1月17日_記事番号:T00061526
蔡英文民進党主席の当選で、中台関係が再び不安定化する可能性が出てきた。馬英九政権が2008年に発足して以降、中台は「1992年の共通認識(92共識)」を基盤に政治的、経済的交流を深めてきたが、蔡氏は92共識を認めておらず、中台の距離をいったん引き離そうという民意に乗じて当選した。また、中国側の92共識に対する解釈は「核心は一つの中国」で、根本的に思想が対立する両者の間で摩擦の高まりは必至とみられるが、新たな対話の枠組みを模索できるのか注目される。
蔡氏は5月の就任演説の内容について、水面下で中国との対話を図るものと観測されている(16日=中央社)
馬総統は92共識の下、昨年11月の史上初の首脳会談実現など、中台の関係緊密化を推進してきた。蔡氏は、中華民国の現行の憲政体制に従い、過去の交流を基礎に中台の平和的発展を進める「現状維持」方針を示し、総統選では中台関係の不安定化を懸念する民意に受け入れられたが、5月20日の就任以降は92共識の堅持を主張する中国と待ったなしで向き合うことになる。蔡氏は16日の記者会見で、「中台は双方が受け入れられる対話の道を模索するために、最大の努力を払う責任がある」と表明しており、中国側に対して92共識とは異なる新たな枠組み構築での協力を呼び掛けたとも取れるが、中国側が現時点で応じる可能性は低い。
蔡氏は中台の経済協定締結の前提となる中台協定監督条例を立法院で優先的に処理すると述べており、同条例を成立させて中台サービス貿易協定の承認、物品貿易協定の締結を慎重ながらも実現する意欲を示す。また、中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への加入にも前向きで、「一つの中国」の92共識は認められないが、経済交流は進めたいという立場だ。
ただ、中国は観光客訪台や、物品貿易協定での関税引き下げなど、既に台湾に対する経済カードを握っており、今後中台間で摩擦が高まった場合、訪台客数を調節するなど圧力をかけてくる懸念がある。その場合、台湾経済界が蔡政権への批判を強める可能性があり、蔡政権は中国との対話が進まないことによって苦境に陥る可能性も十分想定される。
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