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「歴史的な一歩」、台湾各紙の論調


ニュース 政治 作成日:2016年1月17日_記事番号:T00061527

「歴史的な一歩」、台湾各紙の論調

 総統選挙で民進党の蔡英文氏が圧勝して台湾初の女性総統が誕生、立法委員選挙で初めて同党が単独過半数を確保したことについて、民進党寄りの自由時報は「台湾の民主化が生んだ歴史的な第一歩だ」と報じた。国民党寄りの工商時報も歴史的意義があると評価。経済日報は、台湾の政治が新たなステージに移行したのは市民が改革を望んでいる表れであると指摘し、台湾を先進国に導いてほしいと期待感を示した。

 自由時報は、蔡氏が689万票余りを獲得し国民党の朱立倫氏、親民党の宋楚瑜氏を大差で破ったが、今後はそれぞれが国家のために団結してほしいと論じた。

 国民党寄りの聯合報は、世界経済、台湾経済見通しの不透明感が最大の課題だと指摘。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加、米国産豚肉の輸入解禁、若年層の低賃金、産業構造の転換など、これまで野党として国民党を批判してきた諸問題の責任が蔡氏の肩にかかる中、6割近い有権者の支持を得ている上、民進党が立法院の過半数の議席を占めるため有利な反面、他人のせいにはできないとくぎを刺した。その上で、馬英九総統を市民の半分のリーダーと批判していた蔡氏には、ぜひとも全市民のリーダーとなってほしいと呼び掛けた。

中国の影響、8年前より拡大

 国民党寄りの中国時報は、最も重要な外的要因は中台関係で、今や台湾海峡の緊張が高まれば、台湾経済が受ける打撃は陳水扁政権当時より大きいと警告。米国も投開票日前から新政権に対し、中国と対話する政治的土台を確立するよう呼び掛けていたと指摘した。そして、蔡氏は従来のあいまいな表現をやめ、「一つの中国」を前提に中国と対話を進め、中台関係安定の具体策を取るべきと提言した。

対中傾斜に不安感

 工商時報は、馬政権は「633公約(経済成長率6%、1人当たりの国民所得3万米ドル、失業率3%以下)」をはじめ、中台関係以外では成果を挙げられなかったと指摘。経済成長率は台湾、韓国、香港、シンガポールの「アジア四小龍」の最下位で、民間企業の給与は16年前の水準に逆戻り、住宅価格高騰で若年層がマイホームを持てないなど経済格差が拡大していることが、市民の不満を招き、政権交代につながったと分析した。