ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

内閣総辞職、中台物品貿易協定の交渉ストップ


ニュース その他分野 作成日:2016年1月19日_記事番号:T00061581

内閣総辞職、中台物品貿易協定の交渉ストップ

 総統・立法委員選挙での国民党敗北を受け、毛治国内閣は18日、総辞職を表明した。鄧振中経済部長は、次期内閣発足までの空白期間は中台物品貿易協定の交渉を行わないと述べた。産業界は、政権交代を理由に中台交渉が滞れば、台湾の国際競争力に不利に働くと懸念している。19日付経済日報などが報じた。


毛院長(中)は辞任の意志が固く、17日から休暇を取得し、張善政副院長が代理を務めている(行政院リリースより)

 鄧経済部長は、行政院大陸委員会(陸委会)を通じて中国に対し、内閣の空白期間に物品貿易協定の事前協議を行うのは不適当と伝えたと話した。

 馬英九総統は18日、蔡英文次期総統が指定するメンバーから成る政権交代小組(小委員会)設立を指示した。物品貿易協定の交渉再開は、政権交代小組の発足後との見方がある。一方、鄧経済部長は、交渉再開は中台間の協定を監視する両岸協議監督条例の成立後と予測した。5月20日の新政権発足後、下半期になる可能性もある。

 中台は昨年11月下旬に物品貿易協定締結に向けた第12回交渉を行った後、第13回交渉が実現していない。政府関係者は、中韓自由貿易協定(FTA)が2年で発効、関税を引き下げたのに対し、中台は交渉入りから4年目に突入し、プレッシャーを感じると話した。

 中台物品貿易協定交渉は、台湾が中国に対して工作機械、自動車、石油化学製品、液晶パネルの関税引き下げを望んでおり、中国は農産物の関税について世界貿易機関(WTO)加盟国と同等の待遇を要求しているが、合意に達していない。台湾にとっては、現在交渉段階にある豪州との自由貿易協定(FTA)や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加に影響するとの懸念がある。

TSMC12インチ工場、春節前にも

 鄧経済部長は、内閣総辞職で経済に関する事務が停滞するのは良くないが、新首長を尊重し、新政策は推進しない方がよいとの考えだ。IC設計の中国資本受け入れ開放の是非など、重大な政策は新政権に委ねられるが、労働生産性の向上を目指す「生産力4.0発展プラン」や4月1日の電力料金の見直しなどは予定通り行うと話した。

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の中国での12インチウエハー工場設立計画については経済部投資審議委員会(投審会)が春節(旧正月、2016年は2月8日)までに認可するとみられている。

 一方、中国の国有半導体大手、紫光集団による▽矽品精密工業(SPIL)▽力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)▽南茂科技(チップモス・テクノロジーズ)──への出資計画について、鄧経済部長は、関連部門が検討中で、今後公聴会を開き、2月1日発足の新立法院(国会)に報告する流れと説明した。各界が賛成すれば、規定を改正し、条件付きで開放すると述べた。