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日銀マイナス金利、台湾も追加利下げか


ニュース 金融 作成日:2016年1月30日_記事番号:T00061816

日銀マイナス金利、台湾も追加利下げか

 日本銀行(日銀)が29日、アジア初のマイナス金利を発表したことを受け、金融業界関係者は、台湾の中央銀行(中銀)が第1四半期に追加利下げを発表する可能性が高まったと指摘した。日銀の発表で円売り・ドル買いが強まり、台湾元相場は1米ドル=33.6元と前日比0.43%上昇し、3週間ぶり元高水準を付けた。台湾銀行(台銀)の現金両替レートは1円=0.279台湾元と今年1月6日以来の元高水準。日本旅行者に朗報だ。中銀関係者は、投資マネーが台湾などアジアの株式市場に流入すると予測した。30日付工商時報などが報じた。

 銀行関係者は、米国が3月に追加利上げする可能性が下がる中、日本が「切り札」(マイナス金利)を用いたことから、世界経済の見通しは良くないと述べた。台湾経済も回復の兆しが見えず、昨年の域内総生産(GDP)成長率は1%割れ、輸出総額は11カ月連続のマイナス成長で、現在の政策金利1.625%には引き下げ余地があることから、中銀は3回目の利下げに踏み切る可能性があると指摘した。

 中銀関係者は、欧州で景気刺激策として政策金利にマイナス金利が導入されたのに続き、日本の追随で地域経済に一定の衝撃を与えると考えられ、台湾の中銀は動向に注意しながら、適時対策を取ると述べた。日銀のマイナス金利は円安を進行させて日本の輸出を有利にする効果があり、インフレ目標を達成するまで続くと予測した。

 中銀理事を務める合作金庫金融控股の廖燦昌董事長は、台湾は日本ほど政策金利は下げられず、マイナス金利はあり得ないと話した。また、日銀のマイナス金利で、資金が日本から台湾にも流入すると予想した。

日本不動産購入が有利に

 金融監督管理委員会(金管会)銀行局の邱淑貞副局長は、台湾の個人投資家や生命保険会社による日本での不動産投資に有利だと指摘。また、日本に拠点を持つ台湾の銀行は利ざやが縮小するものの、融資を増やすチャンスで、増益が期待できると予測した。

 ただ銀行関係者は、日銀のマイナス金利導入で、資金の流動性が高まれば、融資の貸付利率が押し下げられる上、日本の地場銀行も台商(海外で事業展開する台湾系企業)との取引に乗り出し、競争が激化すると懸念を示した。

 日本に拠点がある銀行は▽中国信託商業銀行(CTBCバンク)▽台湾銀行▽兆豊国際商業銀行(メガ・インターナショナル・コマーシャル・バンク)▽彰化商業銀行(CHB)▽第一商業銀行(ファースト・コマーシャル・バンク)──など。金管会の統計によると、昨年の日本での税引き前利益は30億台湾元(約108億円)以上だった。

【図】