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イノラックス、南科工場が全面復旧


ニュース 電子 作成日:2016年2月23日_記事番号:T00062129

イノラックス、南科工場が全面復旧

 液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は22日、6日に発生した台湾南部地震で深刻な被害を受けた南部科学工業園区(南科)第5、第6世代工場で21日に生産を再開し、南科8工場エリアが全面復旧したと発表した。市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーによると、南部地震の影響で、2月の39.5〜43インチのテレビ用パネル価格が下げ止まり、携帯電話用パネル価格は3~5%上昇した。23日付経済日報などが報じた。

 南部地震で最も深刻な損害を被ったイノラックスの第6世代生産ラインは39.5インチのテレビ用パネルを生産している。ガラス基板1枚からパネル6枚を切り出せ、月産能力は23万~24万枚に上る。40インチパネルより価格競争力があり、需要は好調だ。サムスン電子が39.5インチテレビ市場シェア首位で、シャープに出荷台数で大きく差を付けている。

 イノラックスだけが39.5インチパネルを生産しているため、供給が絶たれるとの懸念から、サムスンは友達光電(AUO)、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)に43インチパネルを発注した。これにより、43インチパネル価格も90米ドルで下げ止まった。

 一方、イノラックスは新竹科学工業園区(竹科)T2工場で39.5インチパネル生産を増やした。T2工場は月産能力10万~12万枚で、もともとテレビ用パネル生産が全体の50%だったが、ガラス基板投入枚数で10~20%増える見通しだ。

3月売上高、回復へ

 イノラックスは同日、南部地震での操業停止、春節(旧正月、2016年は2月8日)連休により、2月の売上高は低いが、3月から徐々に正常な水準を取り戻すと説明した。

 モルガン・スタンレー証券は、イノラックスとAUOは第1四半期の営業損失を免れられないが、パネル価格の下落幅は1月後半の2~8%から、2月前半は1~4%まで縮小したと指摘。8月に開催されるブラジル・リオデジャネイロ五輪に向け、3月末からパネル出荷が増えると予測した。

 ウィッツビューは、南部地震でイノラックスの39.5インチパネル生産ラインが被害を受けたことで、顧客が40~43インチパネルを発注したため、39.5~43インチの中型テレビパネル価格は大部分が下げ止まったと指摘した。南部地震の影響がなかった32、49、55、65インチパネル価格は続落した。

a−Siパネル需要増

 ウィッツビューによると、スマートフォン用パネルも南部地震で供給量が減少した上、需要期に当たり、半成品のセル価格が3~5%上昇した。ハイエンドのフルハイビジョン(フルHD)より、ロー~ミドルエンドの解像度720pのHDパネルの方が需要が強い。

 市場調査会社、IHSの謝勤益シニア総監は、解像度720pのHDパネルなど、アモルファスシリコン(a−Si)パネルは、低温ポリシリコン(LTPS)パネルよりも人気で、3月のa−Siパネルの半成品の価格は上昇すると予測した。

 謝シニア研究総監は、特に華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の需要が強く、a−Siパネルの需給がひっ迫していると指摘した。ファーウェイがイノラックスの5インチオンセル型タッチパネルの生産ラインを確保したため、他のブランドは瀚宇彩晶(ハンスター)や中華映管(CPT)などから調達している。

 経済日報は、経営再建中のシャープが8月末に天理工場(奈良県天理市)での生産を終了し、10月に三重工場(三重県多気町)の一部生産ラインを止めることで、携帯電話用パネルの供給量が減少し、価格が上昇、台湾のパネルメーカーに有利に働くと指摘した。

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