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桃園空港MRT、3月開通を断念


ニュース 運輸 作成日:2016年2月24日_記事番号:T00062157

桃園空港MRT、3月開通を断念

 台北駅と桃園国際空港などを結ぶ台湾桃園国際機場捷運(桃園空港MRT)について、交通部高速鉄路工程局(高鉄局)は23日、目標の3月末開通は不可能になったと発表した。信号制御ソフトウエアの問題で走行テストを完了できないことが原因で、交通部が来週、新たな開通時期を改めて発表する。開通は早くても新政権が発足する5月20日以降で、場合によっては9月以降にずれ込む可能性もあるという。24日付蘋果日報などが報じた。


桃園メトロは23日、現時点で直通車の台北駅〜桃園空港駅の所要時間や運行間隔は、交通部が発表した数字よりさらに悪いと明かした(中央社)

 高鉄局は昨年8月、システム統合テストの進行の遅れを理由に、桃園空港MRTの開通時期を同年末から今年3月に延期すると発表していた。今回の発表で開通延期は6回目となった。

 高鉄局によると、桃園空港MRTは営業開始前の試運転(PRSR)でテスト項目46項目のうち6項目が未着手だ。信号制御ソフトウエアの問題が原因で、▽直通車の最高時速が57〜58キロメートルと契約で求める60キロに届かず、台北駅〜桃園空港駅の所要時間が最短35分50秒余りと要求の35分以内を上回っている▽運行間隔が3分17秒と要求の3分を超えている──など、基準をクリアできていない。

 高鉄局は、昨年末に請負会社の丸紅と信号制御ソフトウエアメーカーのシーメンスに改善を要求したが、依然「鋭意努力中」だと弁明した。

 高鉄局は、テスト項目全てを終えた後も、走行試験で7日連続で信頼度99%以上を確保する必要があると説明。これをクリアした後も約3カ月にわたる最終検査と模擬訓練を行う必要があるため、開通は6、7月以降となる見通しだ。

 高鉄局は、請負会社は開通後に違約金、および運営会社の桃園大衆捷運(桃園メトロ)が被った損失の計50億台湾元(約170億円)以上の支払いを請求されることになると指摘した。

 鄭文燦桃園市長は23日、「1,200億元を投じ、着工から約10年たっても開通基準に達しておらず、市民の期待に応えていない」と批判した上で、高鉄局に対し安全を確保した上での早期開通を求めた。

早期開業優先で交渉中

 一方で高鉄局は、規定の運行間隔を変更し、台北駅〜桃園空港駅の一部区間(A3〜8駅)での停車時間も短縮した上でまず開通させ、その後、運休時間を利用してソフトウエアの改善をメーカーに求める方向で桃園市政府と交渉中だと明らかにした。実現すれば5月20日までの開通も見込めるとのことだが、先行きは不透明だ。